インキュベ日記

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エム。『エムさん。』2巻

エムさん。2<エムさん。> (MFC)

エムさん。2<エムさん。> (MFC)

Webで大人気を博した『エムさん。』の2巻が発売。

相変わらず面白いんだけど、ネットで大半が読めるんだよね。だからお布施的な意味合いが強い。

最近この手の「ネットでも読めるんだけど」という作品の書籍化がプロアマ問わず増えたな。紙の本ならまだわかるが、Kindle版を買ってしまう(お布施以外の)心情というのは何なんだろうな。

Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ』2〜7巻

最近(極私的に)流行の兆しを見せているダンス漫画だが、こちらはクラシックバレエがモチーフ。

バレエというのは残酷な競技だ。才能という言葉があるが、バレエにおける才能とは「柔軟性」や「想像力」といった後天的に何とかしようのある(少なくともその余地が少しは残されている)ものだけでなく、頭の大きさや骨格・筋肉の付き方といった先天的な身体的特徴の占める割合が大きい。また家柄(もっと言っちゃえば親の理解と経済力)の影響も無視することはできない。身体的特徴や家柄は、努力では覆せない。まあ主人公はただただ天真爛漫にバレエに打ち込んでいるだけなのだけど、親や友達はけっこう厳しい状況に置かれていたりして、そのあたりの難しさが、本書ではけっこう赤裸々に描かれている。

そういう描写を含め、めっちゃ面白い作品である。

この作者は元々エロ方面で活躍している方なのだが、非エロでも十分に面白い。個人的に、この人のエロは(巧いけど)あまり好みではないので、このまま非エロの作品で突っ走ってもらいたい。

稲光伸二『性食鬼』9巻

性食鬼 9 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

性食鬼 9 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

わたしの知る限り、『つぐもも』と並び、18禁(成人指定)ではない全年齢向けの漫画の中で、最も果敢にエロ方面で攻めている漫画のひとつ。最もお下劣な漫画のひとつと表現しても良いが、ここは敢えて褒め称える表現を使う方向で。

9巻も凄いわ。

もはや感動のお下劣さ。

小山宙哉『宇宙兄弟』30巻

宇宙兄弟(30) (モーニングコミックス)

宇宙兄弟(30) (モーニングコミックス)

アフロでそそっかしいところもある兄・六太と、どちらかと言えば天才タイプの弟・日々人の兄弟を中心に、宇宙を目指して奮闘する人々を描いた物語。今回はまた久々に弟が登場。本作もかなり長くなってきたなあ。兄と弟がそれぞれ2回目の月飛行を果たし、同時に月に降り立つというのがクライマックスシーンだと勝手に予想しているのだが、このペースではクライマックスシーンまで50巻を超えるのは確実。

ゆうきまさみ『白暮のクロニクル』10巻

白暮のクロニクル(10) (ビッグコミックス)

白暮のクロニクル(10) (ビッグコミックス)

9巻でグググーッと話が進んだのだが、10巻で比較的アッサリと解決。

このまま11巻でフィナーレを迎えるのだろうか。

ちょっと淡白というか、拍子抜けの顛末だなあ。

すぐ次回作に入ってくれるなら、別にそれでも良いんですが。もう一度『鉄腕バーディー』『機動警察パトレイバー』『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』といった長編を描いてほしい。

野口悠紀雄『1940年体制(増補版) さらば戦時経済』

1940年体制(増補版)

1940年体制(増補版)

日本という国は、社会・経済においては、第二次世界大戦後一旦解体され、戦後新たに構築されたという見方が大半である。あるいは日本人の勤勉な国民性は戦前から脈々と受け継いだものであり、そんな日本人だから戦後モーレツな勢いで復興し、欧米の先進国に早くから肩を並べることができたという見方もある。

しかし著者の主張はそのいずれとも異なる。

著者が本書で述べたかったのは「現在の日本経済を構成する主要な要素は、戦時期に作られた」という仮説である。

終身雇用制・年功序列賃金・企業別労働組合の三種の神器に代表される日本型企業、護送船団方式による手厚い銀行保護に代表される間接金融中心の金融システム、直接税中心の税体系、中央集権的な財政制度や官僚制度、株主軽視(従業員重視)、下請制度の普及、土地制度、高い貯蓄率など、日本経済の特質と捉えられているものは本来日本には存在しなかったものだが、資源を軍需目的に集中させる必要性から、1938年の国家総動員法の施行などにより1940年前後の数年間で人為的に導入されたものである。そして農地改革や財閥解体といった戦後改革の一方で、行われなかった戦後改革もあり、これらの人為的な仕組み(戦時経済)は第二次世界大戦後も継続している。加えて、これら1940年体制(戦時体制)の基本的な理念として、生産者優先主義と競争否定、すなわち消費者軽視と強い規制がある。これら理念は現在に至るまで日本において大きな影響力を持っている……本書の言葉をわたしなりに変換・補足しながら説明すると、こんな感じのアウトラインであろうか。

細かい検証にはあまり興味がないので途中は読み飛ばしたが、上記の指摘は非常に面白かった。

確かに日本には、戦時経済が未だに残っているように見える。

この著者は「超」整理法でしか知らなかったが、こちらの本業の成果も非常に素晴らしい。

竹内友『ボールルームへようこそ』2〜8巻

最近よく読んでいるダンス漫画のひとつ。

競技ダンスやバレエの漫画は最近多いが、その中でもブームの火付け役と言って良いポジションにあるのではないだろうか。

とにかく描写が熱く、面白い。それに「お金」の問題や「男性パートナー不足」の問題など、『背すじをピン!と』には描かれていない業界の根深い問題も掘り下げられており、さすがの貫禄と言って良い。

続きが楽しみ。