インキュベ日記

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いがらしみきお『ぼのぼの』42巻

ぼのぼの(42) (バンブーコミックス 4コマセレクション)

ぼのぼの(42) (バンブーコミックス 4コマセレクション)

森に住む動物たちを描いた奇才・いがらしみきおの四コマ漫画。Wikipedia曰く「不条理ギャグと哲学とほのぼのが融合した、独特の作風」とのことだが、言い得て妙である。タイトルであり主人公(ラッコ)の名前でもある「ぼのぼの」は当然「ほのぼの」から来ているが、単なる「ほのぼの」だけでない深みがある。

42巻も相変わらずの面白さで、例えば42巻ではシマリスのお姉ちゃんの赤ちゃんが出て来る。ぼのぼのたちはシンプルなので、何かが生まれたら、生まれた意味や、生まれたことの影響を考えてしまう。しかし難しい言葉ではない。ゆっくりと静かに、内面に潜り込むような思考である。何とも言えない作品だ。

Testosterone(テストステロン)『筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法』

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法

筋トレオタクの社長が筋トレを賛美するユニークなTwitterが話題になり、ついに本まで……という展開らしい。よく本屋で見かけて気になっていたので、大して期待もせず暇潰しに購入……

面白い!

ここまで振り切ってしまうと、もはやコメディーになるな。

でも筋トレが最強ソリューションであるというのは、事実だという気もする。

運動しよう……。

デービッド・アトキンソン『新・所得倍増論』

デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論―潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋

デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論―潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋

日本は戦後、驚異的な優秀さと勤勉さから来る生産性を武器に、他国も驚くスピードで復興・成長して世界第2位の経済大国の地位を手に入れた。まあバブル崩壊以後の「失われた20年」と10億人国家・中国の台頭により、日本のGDPは世界第3位に後退したものの、依然として世界を代表する経済大国として君臨している……というのが、戦後の日本経済に対する大方の見立てであろう。それに対して、著者は明確に否を唱える。

日本が発展してきたのは、日本人が優秀だったからでも勤勉だったからでもなく、単に人口が多い国であったからである。また戦後日本の驚異的な復興・成長を支えたのは、生産性ではなく、単にベビーブームによる人口増加の恩恵と、円ドルの為替の恩恵である……一言で書くと、著者の主張は「人口」と「為替」に集約される。

なかなか衝撃的な展開だが、正直、日本人の労働生産性が高いというのは(生産性の定義にもよるが)どうにも嘘くさいし、あながち間違ったことは言っていないだろうと思った。

しかし人口と為替に完全に集約してしまうと、別に過去の日本を美化するつもりは全然ないのだが、果たしてそれだけなのかという思いもある。人口が増えて貨幣価値が強くなる国はアジア・アフリカを中心に多くあるわけだが、全てが日本のように経済大国の仲間入りをしているわけではないからだ。まあ時間とともにいずれはそうなるのかもしれないし、別に日本人だからと言って日本の過去を特別視するつもりはない。

石塚真一『BLUE GIANT SUPREME』1巻

BLUE GIANT SUPREME(1) (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT SUPREME(1) (ビッグコミックススペシャル)

『岳』という山岳漫画でブレイクした石塚真一によるジャズ漫画。元々は『BLUE GIANT』というタイトルで連載されていたのだが、極めて衝撃的な終わり方をして、心機一転、新しいタイトルで連載されている。

描写自体は相変わらず丁寧なのだが、『BLUE GIANT』のラストを読んだあととなっては、本作に興奮することはしばらくできそうにない。いや、永遠にできないかもな。それぐらい『BLUE GIANT』の終わり方が酷い。

石塚真一『BLUE GIANT』10巻

BLUE GIANT(10) (ビッグコミックス)

BLUE GIANT(10) (ビッグコミックス)

「『岳』という山岳漫画でブレイクした石塚真一によるジャズ漫画。

凄く盛り上がっていたのに10巻で完結して、しかも続編の『BLUE GIANT SUPREME』が同時発売されるという展開をAmazonの発売予定で知り、何となく普通ではない感覚を抱いていた。

しかし、いざ読んでみて驚愕。

これはあんまりなんじゃないか。

何の必然性も感じられない。

いや、百歩譲って人生とは必然性のないドラマなんだよとうそぶいたとしよう。しかし、ここまでの展開で読者をこんな形で裏切って良いものなのか。読者を驚かせ、主人公に刺激を与えるためならば、脇役は何をされても良いのか。これは読者への裏切りというよりも登場人物や作品そのものへの裏切りと言っても良い。

非常にがっかりしてしまったというのが本音。

(買ってしまった手前)続編の『BLUE GIANT SUPREME』も読んでみたが、正直もうこれまでと同じ興奮は味わえない。結局のところ、作者である石塚真一の匙加減なんだなーと思ってしまったから。もちろんどんな物語も作り手の匙加減である。しかし物語というのは作者の手を離れてキャラが自由自在に動いているんじゃないかと思わせるところに面白さがあるし、実際、作者がそのように発言するようなプロットこそ面白い。予想を超えてくるからである。一方、本作の「これ」は、確かに予想は超えてきた。超えてきたんだが、作者の作為しか感じない。

繰り返すが、なんか残念だな。

余談

Amazonを見たら、ほとんど炎上というぐらいに低評価のコメントで溢れていた。みんな思わず書いちゃったんだろうな。

恵三朗+草水敏『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』8巻

フラジャイル 病理医岸京一郎の所見(8) (アフタヌーンコミックス)

フラジャイル 病理医岸京一郎の所見(8) (アフタヌーンコミックス)

残された者と病理というテーマで、なかなか骨太のエピソードが読めたかなと思う。医療モノのドラマや漫画は名作が多い。医療ドラマは人間ドラマである。安易だが、胸を打つ。

芝村裕吏+キムラダイスケ『マージナル・オペレーション』8巻

マージナル・オペレーション(8) (アフタヌーンコミックス)

マージナル・オペレーション(8) (アフタヌーンコミックス)

ヒロイン枠(?)の女の子から露骨な行為を寄せられているのに、それを取り繕うとする主人公のアタフタしたところを楽しむ……という点については正直ちょっと飽きてきた。しかし本筋のストーリーの方はどんどん面白くなっている。同志だと思っていた男と、こういう形で「因縁」が出てくるかー。