インキュベ日記

書評2700冊・漫画評4000冊・DVD評400枚の「質より量」な記録サイト(稀に質も重視)

此元和津也『セトウツミ』1〜2巻

セトウツミ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

セトウツミ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

セトウツミ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

セトウツミ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

キャッチコピーは「この川で暇をつぶすだけのそんな青春があってもええんちゃうか」

元々サッカー部だったが、先輩を無視してフリーキックを蹴ってしまったが故にサッカー部を辞める羽目になって何もすることのない瀬戸と、塾までの時間つぶしをしたい内海が、放課後、川辺でゆったりまったり会話を繰り広げるという漫画。

完全な会話劇であり、はっきり言って漫画にはそぐわない設定である。

漫才というかコントというか。YouTubeでも良い気もする。

わたしが言いたいのは、こうした漫画に不利な題材で「面白い」というのは、けっこう凄いということである。完全にノーマークだったが、映画化もされているようだ。ただ会話劇で、会話の内容はもうわかってしまっているから、改めて映画を観るほどのメリットがあるかと問われると微妙だが。

永椎晃平『星野、目をつぶって。』1〜5巻

星野、目をつぶって。(1) (週刊少年マガジンコミックス)

星野、目をつぶって。(1) (週刊少年マガジンコミックス)

スクールカーストの下位に位置する美術部の主人公(男)が、色々あって、スクールカーストの最上位に位置する派手め系の女子の化粧をすることになる。その肝心の「色々」の内容だが、その女子は素顔があまりにも地味で、中学デビューと同時に素顔を(親友にも)隠して生活している。しかしその女子はあまりにも不器用で、自分で自分の化粧をすることができない。これまでは幼い頃から姉代わりとして仲良くしてきた人物が高校教師をしており、先生に化粧をしてもらっていたのだが、先生も忙しくなってきて今後は今までのように化粧ができないので、代わりの化粧要員として、美術部の主人公に白羽の矢が立つ……という設定。

最近、何度も何度も読み返している漫画を2つ挙げよと問われたら、迷わず『ぐらんぶる』と本作である。『ぐらんぶる』はおバカ漫画なのだが、こちらは結構正統派のラブコメである。しかし話の作りも絵の作りも丁寧で、伏線も色んなところに張られているので凄く面白い。

とりあえず「お色気で勝負しとけ」のラブコメが多い中、好感度大。

余談

伏線といえば、ヒロインの友達が病弱で、しょっちゅう床に伏しているのがどうも気になる。これは今後、ストーリーに繋がってくるかなーと思う。おバカなので「病欠のせいで出席日数が足りず留年の危機」というのも考えられるが、やはり病気が酷くなって云々みたいな展開になるんじゃなかろうか。

水口尚樹『早乙女選手、ひたかくす』2巻

早乙女選手、ひたかくす(2) (ビッグコミックス)

早乙女選手、ひたかくす(2) (ビッグコミックス)

新たなキャラクターが出てきて、動きが出てきた。

二人の関係を取り持とうとする恋のキューピッド役というか、何というか。ただ主役2人ではなくて、あくまでもサブキャラがあちこちいじくってストーリーを回すというのも、面白いような、面白くないような。今の感じだと、主役2人は完全に巻き込まれ型主人公である。

三枝匡『ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ』

ザ・会社改造--340人からグローバル1万人企業へ

ザ・会社改造--340人からグローバル1万人企業へ

待望の、というべきビジネス書にしてビジネス小説。

三枝匡はこれまで『戦略プロフェッショナル』『経営パワーの危機』『V字回復の経営』という3冊のビジネス小説を世に問うてきたが、これらは(コマツなど明白にわかるケースもあるものの)基本的に架空の物語である。

しかし本書は違う。三枝匡がキャリアの完成として選んだ、自身がCEOとして乗り込んだミスミの経営の実態をあるがままに書いたビジネスケースである。読んでいて、これまでの3冊に勝るとも劣らない熱量がある。

この4冊はバイブルだな。

戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

経営パワーの危機 会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

経営パワーの危機 会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

V字回復の経営 2年で会社を変えられますか 企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

V字回復の経営 2年で会社を変えられますか 企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

ザ・会社改造--340人からグローバル1万人企業へ

ザ・会社改造--340人からグローバル1万人企業へ

岩明均『ヒストリエ』10巻

ヒストリエ(10) (アフタヌーンコミックス)

ヒストリエ(10) (アフタヌーンコミックス)

やっと10巻ですか。

長かった。

で、比較的フラフラしていた主人公も、やっと次のステージが見えてきたというか。

しかしこれまでの刊行ペースを見ていくと、2年に1冊なんだよねー。このペースだと、完結するまでに果たして何年かかるのか……。まあ『ベルセルク』のように刊行自体が止まってしまうよりはマシかもしれないが。

宮原るり『僕らはみんな河合荘』9巻

僕らはみんな河合荘(9) (ヤングキングコミックス)

僕らはみんな河合荘(9) (ヤングキングコミックス)

こう来ましたかー。

もう少し長々と「友達以上恋人未満」を続けるのかと思ったが、良いところでスパッとケジメをつけてきたなー。Amazonのレビューでは「よくやった!」と高評価がたくさんついているが、わたしもダラダラし過ぎずに、この辺で主人公とヒロインの関係に決着をつけた方がスッキリして良かったと思う。

あとは10巻で、サブキャラクター達にケリをつけて大団円、かな。

桑原太矩『空挺ドラゴンズ』2巻

空挺ドラゴンズ(2) (アフタヌーンコミックス)

空挺ドラゴンズ(2) (アフタヌーンコミックス)

龍という架空の生物(しかも大型から小型まで種類めっちゃ多い)は確かに魅力的だが、単に龍かっけーで終わらせず、龍の存在をこの世界観における「ビジネス」や「職業」としてきちんと設定を作り込んできたあたりに、本作品の魅力がある。

いや、そりゃね、龍だって空ばかり飛んでいるわけにも行かないから、たまには地面に降りてくるし、それが街だったら被害も起こるわけですよ。それで龍を捕獲する、捕鯨ならぬ捕龍という行為が出て来る。しかし龍という存在自体が超越的であり、龍を捕獲する人々への、まあ噂というか、前近代的な偏見みたいなのも多くあると。

凄く納得できる世界観・設定である。

なお1巻は、とりあえず龍を捕まえて食う、という異世界グルメ漫画の様相を呈していたが、2巻では一転して龍や捕龍を取り巻くマクロな描写に徹してきたなという印象。ただ、やや作品としての方向性をどうするか迷っているというか、せっかくの世界観をどう料理したものか思案しているような感じを受けた。例えば娼館の女の子は、魅力的なキャラクターで個人的には気に入ったものの、別に捕龍とは関係ない気もする。

やはり本筋は、捕龍船に乗ったメンバーを掘り下げることではないかな。捕龍という職業は危険だし、最初からやりたくてやっている人と、(今はともかく当初は)やらざるを得なくて船に乗り込んだ人がいるはずである。借金のために載せられた人、故郷で色々あって根無し草の働き方しかできない人、祖父母の時代から捕龍を続けていて生まれたときから捕龍船に乗っている人……色々あるだろう。