- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/02/24
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (64件) を見る
わたしは貪るように読んでしまったのだが、Amazonではとにかく評判が悪い。トップレビューの幾つかしか読んでいないのだが、不評の理由は大きく2つあるようだ。
ひとつは、最近の村上春樹の文体が以前と少し変わったこと。正確には「以前」というと語弊があって、村上春樹はずっと文体を鍛え続けているし、特に短編や短めの長編では意図的に文体を変えているのだが、それはそれとして、最近はきゅうりのようにクールといった春樹節の言い回しは減っている気がする。とにかくフラットなのだ。ただただ読みやすい。でもこれが、村上春樹のキザな感じの文体を気に入っていた人には随分と不評なのである。わたしはそんなに悪くないと思うんだけどね。物語に集中できるから。
もうひとつは、物語の仕掛けというか構造がよく似ていること。自分に都合の良いガールフレンドが出てくることや、得体の知れない存在が出てくることや、地下に潜って得体の知れない世界に行くこと。ただ、村上春樹が「この世ならざる世界」や「この世ならざる存在」を何度も何度も執拗に書き続けるのは何故なのかと考えていくと、同じ構造だから飽きたという評価は(少なくともわたしには)ちょっと違うような気がする。新しいストーリーが読みたいなら社会派ミステリでも読んでおけば良い。
具体的な感想は下巻で。