山田胡瓜『AIの遺電子』6巻

AIの遺電子 6 (少年チャンピオン・コミックス)

AIの遺電子 6 (少年チャンピオン・コミックス)

ヒューマノイドが実用化され人間と同じように生きる近未来における、人工知能の専門医を主人公としたSF医療オムニバス物語。本作においては、人間、人間と同じような心と権利を有して生きているヒューマノイド、人間やヒューマノイドに仕えるロボット、ヒューマノイドやロボットを生み出した超高度AI、という4つの知的存在がいる、という前提で、一話完結式の物語が大量生産されている。

しかしこのペースは凄い。一話完結を止めて、もっとじっくり描いた方が、作者もネタに困らず済むような気がするんだが。

福本伸行+萩原天晴+橋本智広+三好智樹『中間管理録トネガワ』1〜5巻

『賭博黙示録カイジ』『賭博破戒録カイジ』『賭博堕天録カイジ』『賭博堕天録カイジ 和也編』『賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編』と続いているカイジシリーズのスピンオフ。利根川は最初の『賭博黙示録カイジ』に出て来る中ボスなのだが、やはり『賭博黙示録カイジ』における限定ジャンケンが衝撃的だったこともあって、この中ボスもけっこう人気がある。

人気があるんだが、まさかスピンオフで、コメディーをやるとは思わなかったなー。

めっちゃ笑えます。

冬目景『空電ノイズの姫君』1巻

空電ノイズの姫君 (1) (バーズコミックス)

空電ノイズの姫君 (1) (バーズコミックス)

昔から「雰囲気漫画」を描かせたら天下一品……だと思っていた冬目景による最新刊。とはいえ実は、ごく初期を除いて冬目景の作品はちゃんと読んでない。『ZERO』や『羊のうた』は読んだのだが、『イエスタデイをうたって』が長すぎて途中で読まなくなったんだよな。

今回久しぶりに読んだら、あのデッサンめいた叙情性のある絵柄は健在だが、お話は思ったより「雰囲気漫画」ではなく普通に作り込んでいた。

大童澄瞳『映像研には手を出すな!』1巻

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

セリフの吹き出しを3Dで表現するなど、「漫画表現」に自覚的かつ挑戦的な描き手だなというのが第一印象。一度そう思ってしまうと、何気ない表情やデッサンにも凄みを感じてしまうから不思議だ。

青春漫画としてもフツーに傑作なので、2巻が楽しみ。

白浜鴎『とんがり帽子のアトリエ』1巻

とんがり帽子のアトリエ(1) (モーニングコミックス)

とんがり帽子のアトリエ(1) (モーニングコミックス)

魔法というのは、実は特別なインクと、魔法陣の知識さえあれば、実は誰でも使えるものだった……という驚きの設定がいきなり明かされ、しかしそれが故にこの世界では魔法は「禁忌」として厳しく管理されていた。悪用されるのを防ぐためである。けれど主人公は見よう見まねで魔法を使ってしまい、その結果魔法が暴走して……というプロローグ。

非常によく練られた世界観で、絵も巧い。

この作者は元々『エニデヴィ』というコメディタッチの漫画を描いていたのだが、絵が緻密で、明らかに本作のような王道ファンタジーの方が合っている(まあ『エニデヴィ』の絵柄と作風のギャップも良かったんだけどね)。
エニデヴィ コミック 1-3巻セット (ビームコミックス)

エニデヴィ コミック 1-3巻セット (ビームコミックス)

雨隠ギド『甘々と稲妻』8巻

甘々と稲妻(8) (アフタヌーンコミックス)

甘々と稲妻(8) (アフタヌーンコミックス)

子供が小学校に入り、料理漫画としても世界が色々と広がってきた。

子供を主人公にした漫画は、元々は『よつばと!』が圧倒的に面白く、そして『ばらかもん』の時代が来たと思いきや、今は圧倒的に本作である。

とにかく子供がどんどん成長していくのが面白い。

浅井蓮次『バイオレンスアクション』1巻

バイオレンスアクション(1) (ビッグコミックススペシャル)

バイオレンスアクション(1) (ビッグコミックススペシャル)

簿記2級を受験する女子大生が、バイト感覚で人殺しを請け負う、というストーリー。主人公の女の子は完全にイカレてしまっているわけだが、さりとて殺人狂でもない、というところが現代の病っぽくて微妙にリアル。実際、人殺しの依頼もデリヘルのような感じでWebでなされており、その意味では「新しい」というか何というか。

トニーたけざき『SPACE PINCHY』

SPACE PINCHY (アフタヌーンコミックス)

SPACE PINCHY (アフタヌーンコミックス)

トニーたけざきは圧倒的画力による原作の絵柄の模倣と、原作をブチ壊す下ネタ中心のギャグに強みがある。いわばパロディー作家なのである。しかし本作はオリジナル。下ネタもSF風味も健在なので、別に違和感はない。

高浜寛『ニュクスの角灯』3巻

ニュクスの角灯  (3)

ニュクスの角灯 (3)

ヒーローが渡欧し、舞台がパリに移ったことで、美世という魅力的なヒロインが完全に蚊帳の外。物語の世界観が広がったと見るべきか、散漫な物語展開と見るべきか……。

豊田悠『パパと親父のウチ呑み』1巻

パパと親父のウチ呑み 1巻 (バンチコミックス)

パパと親父のウチ呑み 1巻 (バンチコミックス)

豊田悠『パパと親父のウチご飯』という漫画のスピンオフ。もうタイトルだけで内容はわかると思うが、酒のツマミが取り上げられております。

豊田悠『パパと親父のウチご飯』6巻

パパと親父のウチご飯 6巻 (バンチコミックス)

パパと親父のウチご飯 6巻 (バンチコミックス)

父と息子、父と娘という、どう足掻いても恋愛感情は生まれない、不思議な組み合わせの家族料理漫画。BL成分はゼロなので、その辺に抵抗ある方も安心して読める。

アントンシク『恋情デスペラード』3〜4巻

恋情デスペラード(3) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

恋情デスペラード(3) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

恋情デスペラード(4) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

恋情デスペラード(4) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

西洋ガンマンと日本の江戸時代が混ざったような架空の世界感を舞台に、日本一の夫を目指して旅をする粋な女を描いた放浪記……と書いたら伝わるのだろうか。何も伝わらない気がする。涙あり、笑いありのけっこう面白い作品なんだけど、説明が難しい。自分が1巻の感想を書いたときは、以下のように評していた。

日本一の男を見つけて夫婦になろうと旅を続ける女剣士が、道中の問題を解決する……というロードムービー的な設定が基本的なアウトラインだろうか。日本の戦国時代 or 江戸時代の武士文化とアメコミをミックスしたようなイメージの漫画である。

田中ほさな『聖骸の魔女』4巻

聖骸の魔女(4) (ヤングキングコミックス)

聖骸の魔女(4) (ヤングキングコミックス)

ダークファンタジーならぬ、ダークハーレムファンタジー。

主人公自身は別に強くないんだけど、主人公がハーレム的に魔女を従えて、教会に仇なす輩と戦うという。主人公の男が弱くて、女の子が強いというのはよくある構図なんだが、女の子が複数でハーレム構造というのは比較的珍しい。ただ、めいびい『結婚指輪物語』など、探せば結構この手の話もあるっちゃーある。
incubator.hatenablog.com

西義之『ライカンスロープ冒険保険』1巻

ライカンスロープ冒険保険 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ライカンスロープ冒険保険 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

最近、『ダンジョン飯』や『竜と勇者と配達人』のように、「冒険ファンタジー」を支えるシステムに着目したユニークな切り口の漫画が出てきているが、本作もその一環である。なぜ某ファンタジーゲームは、全滅したら、所持金が半分になって教会で復活するのか? あ、そーか保険に入ってたんだー! という。

面白くて大変気に入ったんだが、やや出オチ感があるというか、結構すぐネタ切れで終わらないかが心配。
incubator.hatenablog.com
incubator.hatenablog.com