福田和也『作家の値うち』

本書はいわゆるブック・ガイドであり、バイ・ガイドである。まだ死んでいない日本人作家の小説の短評を載せ、100点満点で点数をつけている。小説に点数をつけるという品のなさに惹かれて俺は購入した。

この点数に対して「福田の奴は見る目がない」と批判する人が続出しているようだ。俺は点数の妥当性についてはよくわからない。納得した部分もあったし、納得しがたい部分もあった。ひとつ言えることは、「点数」をつけるという行為はわかりやすく、かつ潔い、ということだ。しかも既に死んでしまった「文豪」相手ではなく、現役でバリバリ活躍している作家に対してそれを行うのだから、勇気があるというか、男気があるというか。いや、あるいは蛮勇なのかもしれないが、それでもそのスタンスには好感を持った。点数の妥当性はどうあれ、プロの批評家としての責任は果たしていると俺は思う。