本書はサッカーエッセイ『フィジカル・インテンシティ』の続編である。
『フィジカル・インテンシティ』も良かったけれど、本書もなかなか面白い。村上龍については、以前『すべての男は消耗品である』というエッセイを読んで、「こんなつまんねぇエッセイを書くのか」と不愉快な気分になったことがあるが、この2冊はなかなか面白い。
基本的にはサッカーのエッセイだが、矛先はサッカーにとどまらない。日本人の意識を問い質し、日本人を攻撃的に鼓舞する。「“フォア・ザ・チーム”はとても重要だが、本当にその意味を理解しているか?」「リスクの意味を一体どれだけの日本人が正確に理解しているのか?」といった問いを読者に突きつける。そして村上龍は「個人が負うべきリスクを負うことで可能性を示すことが出来るのだ」と述べる。その通りだと俺も思う。