いしかわじゅん『漫画の時間』

本書はいわゆる漫画評論集である。いしかわじゅんは「漫画は大雑把に言って、<絵>と<字>とで成り立っている」から「漫画の面白さはそれらのバランスによって決まる」はずなのに、「世間の多くの漫画読みたちは、<字>を読んでしまっている」と述べている。まあ確かにその通りだと思う。絵だけで漫画の良し悪しを判断する方も多いようだし、字(つまり漫画をテクストとして)だけしか見ない方も多いようである。しかしながら、もちろん絵と字の両方があって初めて「漫画」となるのだ。