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インキュベ日記

書評2700冊・漫画評4000冊・DVD評400枚の「質より量」な記録サイト(稀に質も重視)

インキュベ日記ベストセレクション2000

books年間ベスト

1年間の振り返りとして、2000年に読んだ本の中から特に印象深かったものを取り上げてみたい。2000年は8月から開始しており読書数も少ないため「5選」とした。まあ余興なので、ゆるりと行きましょう。
「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi original (66号)) 誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫) 蛍川・泥の河 (新潮文庫) サイエンス・サイトーク 愛は科学で解けるのか (新潮OH!文庫) ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫) インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)

村上春樹+安西水丸『「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』

本書は、汲めど尽くせぬ滋養がある――といった類の本では全然ない。しかし村上春樹特有のユーモアが好きな人にはたまらない。いつ読んでも面白いです。

木村元彦『誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡』

木村元彦は本書の他に『悪者見参』『終わらぬ「民族浄化」 セルビア・モンテネグロ』『オシムの言葉』を著している。国家やナショナリズムとスポーツを絡めたアプローチが多いようだが、平易な言葉で実に読み応えのある文章を書くジャーナリストである。本書もストイコビッチ(ピクシー)という稀代のサッカープレイヤーを軸に、ただピクシーの一代記を書くのではなく、ユーゴ・サッカーという政治に翻弄されたナショナル・チームを真正面から取り上げている。

宮本輝『螢川・泥の河』

2000年より前から読んできた本だが、本書は俺にとってまさに歴史的な1冊であり、改めてここで取り上げたい。小説世界が心の最深部まで降り立ち、その人間の在りようを変えてしまうという経験は、そう何度も訪れるわけではないと俺は思う。つまらない小説では絶対に起こり得ないし、タイミングも重要だ。本書と俺は、人生にそう何度も起こらないであろう稀有な出会いを果たしたのである。今、宮本輝の新刊を読もうという気は全く起こらないし、本書を読み返すこともほとんどないのだが、本書を読んだときの高揚感を忘れることは生涯ないだろう。

日垣隆『サイエンス・サイトーク 愛は科学で解けるのか』

「愛」という概念を科学(サイエンス)という切り口から解剖し、しかもそれを知的に面白く語るという離れ業をやってのけた本。詳しくは当時の日記に譲るが、これは面白い。必読である。

阿刀田高『ギリシア神話を知っていますか』

古典や神話をざっくりと読み解く随筆を書かせたら天下一品の著者だが、その中でも最も面白いと俺が思っているのが本書である。ギリシャの神々は日本と同じく多神教で、色んな神様がいらっしゃる。中には実に「人間的」な神様なんかもいたりして、神様なのに親近感が沸いたりするのである。

阿部和重『インディヴィジュアル・プロジェクション』

その他、次点と言うべきか、作品としてというよりも、本ジャケットそれだけのために阿部和重『インディヴィジュアルプロジェクション』を推薦したい。これを超えるジャケットはまだ見ていないと思う。
インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)