ポール・ストラザーン『90分でわかるデリダ』

前回に続き、俺の大好きな90分でわかるシリーズの新刊。今回は哲学者デリダである。俺の中では、もはや説明不要の定番。やっぱ面白いわ。人生のダイナミズムを軽妙な文体が巧く表現し得ていると思う。

デリダの主要な武器である「脱構築」については、未だにあまり理解できていないが、それでも脱構築の“狙い”は少しずつわかり始めている。

ちなみにデリダは「アルジェリア生まれのユダヤ人」という微妙な出自であり、それがやはり自身の哲学にも大きく影響しているようだ。世界史の知識がない人に説明しとくと、アルジェリアというのは元フランス植民地ね。もう独立したけど。フランス圏マイノリティのアルジェリアの中で人種的に差別されるマイノリティ人種ユダヤ人――いわばキング・オブ・マイノリティとしてデリダは生を受けている。この微妙なアイデンティティが自身に影響を与えないはずがない。デリダの半生も非常に興味深い。