三田誠広『いちご同盟――純愛・中学編』

学校の教科書にも載っている有名な小説なので、知っている人も多いと思う。俺が塾講師として教えている地域でも今年から『いちご同盟』が収録されている教科書に変更されたため、本書は生徒にも馴染みの深い小説となったようだ。そのため生徒から「貸せ」というリクエストも来るようになった。

内容は特筆すべきものではないし、小説講座の本を出版しているわりに三田誠広の文章は巧いとは思えない。でも普段ほとんど本を読まない人が活字に親しむには、わりと良い本なんじゃないだろうか。普段ほとんど活字に触れた経験のない人に最初から「文豪」の小説を読ませようとする「国語教師」も多いけど、別に本を好きでもない人が数十年・数百年も前の本や難解な文学を無理矢理読まされたって、多くの人は退屈なだけだと思う。問題意識や感覚だって今とはズレてるんだし。その意味では有益。