大前研一『質問する力』

ここ1〜2年だろうか、質問だの何だのといった本を多く目にするようになった。もしかしてブームなのだろうか。類書のことは知らないが、本書は質問のノウハウを挙げているようなものではなく、もっと根本的な問題を扱っている。前提や常識や問題の本質を改めて問い直す「質問する力」が、なぜ日本人には不足していて、どうすれば身につけられるか、それを述べたのが本書である。

本書に限らず、大前研一の(特に日本の政策的な)話には、皮肉でなく真に賞賛的な意味で感心させられる。現象のどこに問題があり、どうすれば解決できるか、あくまでも事実を元にして、論理的かつ説得的かつ具体的に問題点や解決策が述べられているため、読んでいて突飛な部分があまりないように思う。例えば、郵政民営化の問題、教育の問題、不良債権の問題、住宅ローンの問題――まあ大前研一からすれば当然のことを述べているだけなのだろうが、大前研一のように冷静かつ論理的に発言・実行できている知識人や官僚や政治家は果たして日本に何人いるだろうか。大前研一の政策的な話は本当に参考になるし、正論で正統的だと思う。大前研一が次の大阪府知事になってくれれば嬉しいんだけどなあ。少なくとも(女性の土俵入り問題以外)何をしたか全然わからない太田房江よりは、大阪を良くしてくれるだろう。