古淵元龍+大堀滋+ケンブリッジ・リサーチ研究所『営業の「聴く技術」 SPIN「4つの質問」「3つの説明」』

営業の「聴く技術」―SPIN「4つの質問」「3つの説明」

営業の「聴く技術」―SPIN「4つの質問」「3つの説明」

担当者と上申者・決裁者がそれぞれ異なるような高額商品の営業に関する技術をまとめた本。確かに自分の経験を鑑みても、この種の営業の突破口は「丁寧なヒアリング」と「効果的な質問」に収束されると思う。高額商品のソリューション営業は(担当者がきちんと理解して稟議を上げて説得できなければ決裁を得られないため)セールストークで丸め込んだり人柄で買わせたりといったことは期待できない。そのため、ドラマやドキュメンタリー番組に出てくるような特別なアプローチは必要なくとも、その時々のフェーズで「やるべきこと」をきちんとやらないと成果を出せない職業である。そしてその時々の「やるべきこと」を炙り出すには、ヒアリングと質問の繰り返しは不可欠であろう。本書で紹介されているSPINは、決して難解なフレームワークでも突飛で新しい手法でもないが、やり切るのは難しい、それでいて「基本技術」なのである。
本書は非常に良い本で、営業時代は何度も読み返していた。蔵書の整理をしていてまだ本書をアップしていないことに気づいたが、実は「なるほど!」と思える箇所が多すぎて、あまり紹介したくないためにアップしなかったことを思い出した(まあ今は営業ではないからそんな気持ちも起こらないけれど)。
改めて読み返したが、やはり良い。営業に直接的・間接的に言及している本は(立ち読みも含めると)相当数に目を通してきたが、参考になると思える本/買ってみようと思える本はほとんどなかった。個人的には、本書と、ニール・ラッカム『SPIN式販売戦略』 と、山本藤光『「暗黙知」の共有化が売る力を伸ばす』 くらいだろうか。もう俺は営業ではないが、交渉という枠組みで捉えるなら非営業職にも使える考え方だと思い、本書は2冊(「書き込み用」と「非書き込み用」)持っている。
ところでAmazonのリンクを貼ろうとして新版が本日発売されることを知ったのだが、凄い偶然だ。新版も購入しようかな。