中川右介『3時間でわかる「クラシック音楽」入門』

3時間でわかる「クラシック音楽」入門 (青春新書INTELLIGENCE)

3時間でわかる「クラシック音楽」入門 (青春新書INTELLIGENCE)

「クラシックジャーナル」という雑誌の編集長が、バロック−古典派−ロマン派前期−ロマン派後期の代表的な音楽家を取り上げて解説しながら、クラシック音楽の「正しい聴き方」を解説している。面白かったのは、著者の毒舌とも思える断定口調である。例えば、著者は日本人の作曲家や演奏家を基本的に評価していない。日本人のクラシックは(海外をベースに活躍する超一流の音楽家を除き)聴く必要はない、日本人のオペラは歌うことに必死で歌劇がなってないので聴く必要はない――と言いたい放題である。ただ、ここでの面白さとは決してワイドショー的な面白さということではない。曲によっては何十・何百といったパターンの演奏が発表・発売されている中で「あれもこれも」とオススメされても正直どうしようもないので、初心者にとってはバッサリ切り捨ててくれる姿勢はとてもありがたいし参考になる、という意味である。
時折コラムのような形で挟まれる「ワンポイントアドバイス」も興味深い。例えば、数ページに渡ってハイドンについて解説しておきながら「ワンポイントアドバイス① ハイドンの聴き方」で「ハイドンはとりあえず聴かなくてもいい」とバッサリ切り捨てている。八方美人なレビューではないので、著者の考え方が伝わりやすく、参考にもしやすい。