永江朗『話を聞く技術!』

話を聞く技術!

話を聞く技術!

話を聴く技術について解明しようとしているよりは、単に永江朗が「話を聞くのが上手いと一般に思われている人」にインタビューをした本で、書名と内容のギャップがあるような気がする。ただインタビュイーは、黒柳徹子田原総一朗ジョン・カビラ糸井重里小松成美吉田豪河合隼雄石山修武松永真理、刑事(実名は伏せられている)――と興味深い陣容が揃っている。
特に刑事へのインタビューは面白い。ホシ(犯人)を捕まえて「喋れ」と言っておきながら、毎回必ず「言いたくないことは言わなくて良いですよ」という矛盾。しかし参考人として聴取するならともかく、ホシは犯人であると思われるだけの裏付けが取れている人間である。その人から証言を引き出すのは、並大抵のことではないだろう。何しろ、喋ったら死刑か無期懲役が確定するような種類の犯罪もあるのである。それを喋る瞬間、容疑者の覚悟は並大抵のものではない。「下手な聞き方をしていると、いつまでたっても重要な証言は出てきません」という言葉の重みは、おそらく刑事でないと真に理解することはできないだろう。
あとはジョン・カビラのインタビューも面白かったかな。まあ俺はジョン・カビラ(川平慈温)と川平慈英の区別も付かないんだが。しかも父親(川平朝清)やジョン・カビラの兄(川平謙慈)もそれなりに有名らしい。すんごい家族!