岡本聡子『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』

上海のMBAで出会った 中国の若きエリートたちの素顔

上海のMBAで出会った 中国の若きエリートたちの素顔

著者は外資コンサルティング会社を経て、胡錦濤国家主席の娘も在籍していた中国トップビジネススクールであるCEIBS(中欧国際工商学院)でMBAを取得し、現在は東京のベンチャー企業で働いているとのこと。日本人の場合、MBAといえば国内か欧米のビジネススクールに進学する人が大半だが、著者は中国のビジネススクールを選択したという点で実に特徴的である。またSARSの影響もあって、この年度の留学生の比率が(予定の20%に対して)5%しかおらず、学生の大半が中国人のトップエリートという状況だったそうだ。学生メーリングリストを通して著者が何度となく政治的・歴史的な議論に巻き込まれている(当人も積極的に関わっている?)あたり、さすが中国という感じで、興味深い。
メールマガジンを書籍化したものであり、内容的な掘り下げがそれほどなされているわけではない。また著者自身が認識しているように、トップ中のトップエリートという限られた中で得られた中国や中国人に対する印象なので、偏りもある。ただ、それでもなお興味深いことは確かである。そもそも10億人の中国人の総意など望むべくもないのだ。