苫米地英人『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方』

頭の回転が50倍速くなる脳の作り方~「クリティカルエイジ」を克服する加速勉強法~

頭の回転が50倍速くなる脳の作り方~「クリティカルエイジ」を克服する加速勉強法~

売れているみたいなので購入してみた。脳科学や心理療法などの知見を活かしているらしく、ところどころ面白いところもある。例えば、目や耳に入る情報を全て記憶していたら脳はパンクしてしまうから、「すでに知っている情報」は覚えないそうだ。だから「既に知っている情報を」何度も見て覚えようとする丸暗記は効率が悪く、やらない方が良い。逆に考えれば、それを逆手にとって、あえて問題を間違えて、脳に「これは重要だ」と認識させることで記憶の定着を図ることができる――という考え方は、著者のオリジナリティが発揮されているとまでは思わないが、専門家の知見を基に改めて書かれると「なるほど」と思う。
しかし全般的には、胡散臭くて自己啓発的なメリットもないし、実用度も低く、正直そんなに良い本だとは思えなかった。本書の副題となっている「クリティカルエイジ」の概念だって、俺の言葉でまとめるなら、要は「学びには、脳や体の発達段階において適正な時期がある」というものであろう。クリティカルエイジという名称はともかく、中身は当たり前の話であり、別に専門家の意見を聞くまでもない。何でこんなに売れているんだろうと思ってAmazonのカスタマーレビューを見てみたら、以下のようなレビューがあった。

述べている方法のうち、「抽象度を上げること」に関して、いまいちのような気がする。というのも、日本語脳を使わないようにといっているのに、訓練「言語」がモロ日本語である。矛盾していないか?
他の章、資格試験などに関しては、現状適切な教科書にあたる本がないものもあるので、先生の推奨する方法がとりたくても取れない場合が多々なのではないか?

速読に関しては、自分で「書いてある文章のうち半分もちゃんと読めていない」といっているように、クオリティが低すぎる。記憶に関しては、かなり話が雑に思える。

このレビュアーと同じで、俺も「話としてはおもしろいが実践の書としてはいまいち書かれ足りない?」という印象を持った。