細谷功『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

これは良い本。
本書では、頭の良さ(=優秀さ)を「知識量」「機転が利くこと」「地頭力(=考える力の強さ)」の3つに分類し、さらに地頭が良いと呼べる能力を3つ挙げている。すなわち、「結論から」考える力、「全体から」考える力、「単純に」考える力である。そして、その3点をそれぞれ「仮説思考力」「フレームワーク思考力」「抽象化思考力」と定義し、その学び方まで考えている。
学び方も面白く、フェルミ推定という聞きなれない概念/ツールを取り上げている。フェルミ推定とは、「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」「日本に電信柱は何本あるか?」といった問題について、仮説を繰り返してざっくりとした概数を求める方法である。データがない中で考えるので、答えには当然ながら幅が出る。しかしフェルミ推定は実際の数量に近いかどうかがポイントなのではなく、いかに仮説を設定するか(プロセス)がポイントなのである。なるほど、このエクササイズを繰り返せば、確かに「仮説思考力」や「フレームワーク思考力」や「抽象化思考力」が鍛えられるように思う。
フェルミ推定という言葉、何か聞いたことあるなぁと思って手持ちの本を探っていたら、堀公俊+加藤彰+加留部貴行『チーム・ビルディング』でフェルミ推定が紹介されていた。ファシリテーションに関する本なので少し毛色は違うけれど、興味のある方は『チーム・ビルディング』のフェルミ推定の項目も当たってみてください。