サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254)
- 作者: 春山昇華
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2007/11/09
- メディア: 新書
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今ニュースをチェックしたら、この半年だか3ヶ月だかの米金融大手のサブプライム損失合計は、現時点で既に4兆1千億円以上になるらしい。しかしサブプライム問題をめぐる損失全体という話で言えば、4兆どころか20兆円とも100兆円とも言われている。天文学的な損失額だ。日本のバブル崩壊と似ているとの分析を聞くこともあるし、アメリカが長い経済的な低迷に苦しむようなことがあれば、マネーゲームの理は変貌していかざるを得ないだろう。一体どうなるんだろう。想像もできないな。
個人的に面白かったのは、今後の日本へのサブプライムの余波を考える最終章で書かれていた、「リバースモーゲージ(リバースモーゲッジ」という制度の可能性と、リバースモーゲージを悪用した悪徳業者出現のリスクについて書かれた部分である。著者は、リバースモーゲージの日本での可能性は大きいものだと感じているようだが、同時にリバースモーゲージもどきの商品を使った悪徳金融業者の登場を懸念しており、悪徳金融業者が罠を張るであろう方法を詳細に説明している。しかし、リバースモーゲージもどきのターゲットとなる「資産があり、金融知識の少ない高齢者」という層は、おそらく本書も読まないだろう。結局は悪徳金融業者に要らぬ入れ知恵をしただけのような気もする……。
ちなみにリバースモーゲージとは、俺の乱暴な理解で説明するならば、自宅を担保にして金やサービスを受け取り、契約終了時や死亡時に自宅を売却するなり債権者に権利を移すなりして、今まで受け取った金やサービスの代価を清算するというスキームである。通常、住宅ローン(モーゲージ)というものは少しずつ返済していくから(当たり前だが)年月と共にだんだん借金額は減っていく。しかしこのスキームの場合、契約終了後に向けてだんだん借金額が積み上がっていく。それが「リバース」と名づけられている所以である。