奥野宣之『情報は1冊のノートにまとめなさい』

情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)

情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)

  • 作者: 奥野宣之
  • 出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
  • 発売日: 2008/03/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ざっくりと読んだだけだが、その名の通り、情報を1冊のノートにまとめましょうという本。100円程度のA6キャンパスノートに、スケジュールを書いたり打ち出した紙を貼り付けたりちょっとしたメモを書き留めたり、とにかく全ての情報を集約させて行きましょう――ということが書かれているのだが、まあ詰まるところGmailなどの考え方にも通ずる「無分類+検索」ということではないだろうか。
俺のような門外漢が書くのはおこがましいが、メールでもPCのフォルダでもブラウザのお気に入りでも、数年前までは「分類」による管理が一般的だった。しかし最近では、分類という発想は整理における唯一絶対の解ではなくなっている。そもそも分類の場合、特に俺のような変なところにだけ神経質な人間にとっては、精緻に実施しようとすればするほど使いづらい。仕事のことを書いている友達のブログについて「これは友達フォルダと仕事情報フォルダのどちらに入れたら良いだろう?」などと悩んでしまうのである。複雑なルールを作って、結局やりきれなかったり、そもそもどこに入れたのかわからなくなる。かといって曖昧にし過ぎると、後で取り出すのが難しい。
その点、Gmailやはてなブックマークなどでは、そもそも分類という方法を取ることなく、必要なものは「検索」しましょう、というスタンスに立っている。少なくとも俺の理解では、タグは分類のためではなく、あくまでも検索のためにつけるものである。
正直なところ、古くから「分類しましょう」「いや、分類しすぎないようにしましょう」というどちらの考え方もあったのだが、本書の考え方もGmailに代表される「無分類+検索」という流れに則ったものだと考えると、非常にスッキリ来る。Gmailと本書ではデジタルとアナログという違いはあるが、細かいことを考えずに情報を集約し、見出しをつけて、「とりあえずここにある」という状態にしたあと、探し出すのである。
ところで梅田望夫のブログ「My Life Between Silicon Valley and Japan」でも情報整理に関するエントリーがあったので、参考までに紹介。

情報の整理については、これまでもさまざまなテクニックが紹介されてきました。しかし、グーグルの登場が情報整理のあり方を根本的に変えました。頭の片隅に残っているいくつかの言葉で検索すれば、探していた情報に辿り着けるようになったからです。
(略)
つまり、気になった記事や論文を切り出して、ファイルに保存して……といった旧来の整理法はもはや無意味で、自己満足にしかなりません。これは紙によるアナログなものだけを言っているのではなく、デジタルのデータを自分のパソコンに保存するとしても同じことです。グーグルが全世界規模でブルドーザーのように情報整理を行っているので、印象に残った記事や論文全体を読みたいのなら、関連するキーワードを三つくらい入力してグーグルで検索すれば、すぐに呼び出せるようになります。

そういえば「分類」から「無分類+検索」というトレンドも梅田望夫から学んだような気もする。