向後千春+冨永敦子『統計学がわかる』

統計学がわかる (ファーストブック)

統計学がわかる (ファーストブック)

なーんか見覚えがあるので、既に買っているのではないかと不安に思いつつ購入。結果、買ったことはなかったが、この元ネタがWebで公開されていた。向後千春という人は、統計学の専門家ではなく、インストラクショナルデザイン(instructional design/ID)の専門家であり、つまり(かなり)ざっくり言えば教育畑の人である。
インストラクショナルデザインを俺なりの言葉で非常に乱暴にまとめれば、教え方や学び方を(ツールも含めて)研究する学問領域だ。まあ、要は学びやすい環境やツールや方法論を作り、そして実際に作ってみせるのが、彼らインストラクショナルデザインの専門家と言って良い。例えばe-learningなんて究極的には紙媒体からWeb媒体に中身をそっくりそのままコピーするだけでも成立するのだが、それだとやはり学習効率は悪い。インストラクショナルデザインという領域は、いかに学ぶかという点に、徹底的にこだわっている。本書も、Webの内容をそっくりそのままコピーするわけではもちろんない。大筋は一緒のようだが、細かいところではやはり独習しやすいように色々な工夫が凝らされている。そう言う意味では、インストラクショナルデザインは形而上学ではなく、実学である。
もちろん、そんなことなど考えずに統計学の入門書として読んでも面白い。excelを効果的に使って統計学の基礎の基礎が理解できるようになっており、面倒くさがらずexcelに打ち込みながら本書を読めば、相当わかりやすいと思う。