デレック・S.ピュー+デービット・J.ヒクソン『現代組織学説の偉人たち』

現代組織学説の偉人たち

現代組織学説の偉人たち

  • 作者: デレック・S・ピュー,デービット・J・ヒクソン,北野利信
  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2003/07/04
  • メディア: 単行本
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組織論や経営管理論の学説を包括的に紹介している本。
目次は以下。

第1章 組織の構造
 1.1. マックス・ウェーバー
 1.2. アルビン・W.グールドナー
 1.3. デリック・ピューとアストン・グループ ジョン・チャイルドとデービッド・ヒクソンを含めて
 1.4. ジョーン・ウッドワード
 1.5. エリオット・ジャックスとグレーシャー研究
 1.6. アルフレッド・D.チャンドラー
 1.7. オリバー・E.ウィリアムソン
 1.8. ヘンリー・ミンツバーグ
 1.9. チャールズ・ハンディー
 1.10. クリストファー・バートレットとサマントラ・ゴーシャル
第2章 その環境の中での組織
 2.1. トム・バーンズ
 2.2. ポール・ローレンスとジェイ・ローシュ
 2.3. ジェームズ・D.トンプソン
 2.4. ジェフリー・フェッファーとジェラルド・R.サランシック
 2.5. レイモンド・E.マイルズとチャールズ・C.スノー
 2.6. マイケル・T.ハナンとジョン・H.フリーマン
 2.7. ヘールト・ホフステード
第3章 組織の機能遂行
 3.1. チェスター・I.バーナード
 3.2. ウィルフレッド・ブラウン
 3.3. サー・ジェフリー・ビッカーズ
 3.4. E.ワイト・バッキ
 3.5. アミタイ・エチオーニ
 3.6. デービッド・シルバーマン
 付論 組織の慣行
 3.7. C.ノースコート・パーキンソン
 3.8. ローレンス・J.ピーター
第4章 組織の管理
 4.1. アンリ・ファヨール
 4.2. リンダル・F.アーウィックとエドワード・F.L.ブレック
 4.3. フレデリック・W.テーラー
 4.4. ハリー・ブレーバーマンと「労働過程」論争
 4.5. メリー・パーカー・フォレット
 4.6. ピーター・F.ドラッカー
 4.7. アルフレッド・P.スローン・ジュニア
 4.8. トーマス・J.ピーターズとロバート・H.ウォーターマン
 4.9. ウィリアム・オオウチ
 4.10. ローザベス・モス・キャンター
 4.11. カール・E.ワイク
第5章 組織における意思決定
 5.1. ハーバート・A.サイモン
 5.2. ジェームズ・G.マーチ
 5.3. チャールズ・E.リンドブロム
 5.4. ビクター・H.ブルーム
 5.5. ミッシェル・クロジエ
 5.6. アーノルド・S.タネンバウム
第6章 組織の中の人々
 6.1. エルトン・メーヨーとホーソン研究
 6.2. レンシス・リッカートとダグラス・マクレガー
 6.3. ロバート・R.ブレークとジェーン・S.ムートン
 6.4. エドガー・H.シャイン
 6.5. フレデリック・ハーズバーグ
 6.6. フレッド・E.フィードラー
 6.7. エリック・トリストとタビストック研究所の業績
 6.8. エドワード・E.ローラー
第7章 組織の変革と学習
 7.1. ポール・J.ディマジオとウォルター・W.パウエル
 7.2. アンドリュー・ペティグリュー
 7.3. クリス・アージリス
 7.4. ピーター・センギ(一般にはピーター・センゲで知られている)
 7.5. ゲーレス・モーガン
第8章 社会の中での組織
 8.1. ロベルト・ミヘルス
 8.2. ジェームズ・バーナム
 8.3. ウィリアム・H.ホワイト
 8.4. ケニス・E.ボールディング
 8.5. ジョン・K.ガルブレイス
 8.6. E.フリッツ・シューマッハー

目次を一読してわかるのは「カバー範囲の広さ」だが、本書の特長はそれだけではない。紹介されている人々をチェックしていると、経営学者じゃなくてゴリゴリの理論社会学者が何人か紹介されているなど、全体的にアカデミック色の強い人選である。しかしアカデミズム一辺倒ではなく、『ピーターの法則』で知られる異色の社会学者であるローレンス・J.ピーターが付論という形で載っていたり、学者でなく経営者が紹介されているなど、バラエティに富んでいる(ただし、この経営者は学者顔負けの理論系論者である)。
個人的に類書と最も異なる点は、わかりやすさを重視して必要な情報まで削ぎ落としたり重要な論点をぼやかしたりはせず、あくまでも正確な紹介を志しているということだろうか。だから、組織論や経営管理論の全くの門外漢には少し難しい。俺も図書館で借りて来ては読み切れず返却し、また借りて来ては読み切れず返却し……ということを何度も繰り返してきたのだが、先日エントリーした沼上幹『組織デザイン』と金井壽宏『経営組織』を繰り返し読み込むことで、経営管理の本質を少しずつ理解できるようになり、本書を熟読・精読できるようになった。
最初は小難しいけれども、(読めるようになったら)本書は良い本である。1人あたり数ページと決して長くはないのだが、短い文章の中でも理論的な背景を出来る限り理解できるような配慮が感じられる。
組織デザイン (日経文庫)  経営組織―経営学入門シリーズ (日経文庫)
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