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インキュベ日記

書評2700冊・漫画評4000冊・DVD評400枚の「質より量」な記録サイト(稀に質も重視)

インキュベ日記ベストセレクション2008

books年間ベスト

1年間の振り返りとして、2008年に読んだ本の中から特に印象深かったものを取り上げてみたい。今回は、仕事関連で読んだ本で5〜6冊ほど大推薦の本があったのだが、それらは全て外した。俺と同じ仕事じゃなくても楽しめる本の方が良いかなというのもあるが、数が多くなりすぎたというのが一番の理由である。残念だが、あまり数が増えてもベストセレクションとは言えないからなあ。なお、一気にピックアップしたので漏れている本もあるかもしれない。
アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫) アラビアの夜の種族〈2〉 (角川文庫) アラビアの夜の種族〈3〉 (角川文庫) ただマイヨ・ジョーヌのためでなく マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫) 20世紀SF〈1〉1940年代―星ねずみ (河出文庫) 20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり (河出文庫) 20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻 (河出文庫) 20世紀SF〈4〉1970年代―接続された女 (河出文庫) 20世紀SF〈5〉1980年代―冬のマーケット (河出文庫)
20世紀SF〈6〉1990年代―遺伝子戦争 (河出文庫) 民主党のアメリカ 共和党のアメリカ (日経プレミアシリーズ) 巨大投資銀行 (上) (ルビ:バルジブラケット) 巨大投資銀行 (下) (ルビ:バルジブラケット) 私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書) 効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法 はじめての課長の教科書 あたらしい戦略の教科書 英会話ヒトリゴト学習法 がつん!力 会社を救う5つの超原則 (講談社BIZ)
カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略 指一本の執念が勝負を決める 会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」 なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか 人間の出会いが生み出す「最高のアート」 なぜマネジメントが壁に突き当たるのか―成長するマネジャー12の心得

古川日出男『アラビアの夜の種族1』『アラビアの夜の種族2』『アラビアの夜の種族3』

2008年に読んだ本のベストを挙げろと問われたら、迷うことなく本書である。本書の面白さは圧倒的だね。魂が震える傑作。


ランス・アームストロング『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』

全盛期に罹患した睾丸癌で死の淵をさまよったのに、癌からの復活の後にツール・ド・フランスを七連覇するという偉業を成し遂げた、驚異的なアスリートによる自叙伝。この人より凄まじい復活劇を俺は知らない。しかも形ばかりの復活などではなく、病前の全盛期を業績でも身体能力でも大きく超えてみせている。凄まじい!*1

バタイユ『マダム・エドワルダ/目玉の話』

本書については、エントリーと同じことを繰り返したい。理屈ではなく、インスピレーションに訴えかけ、猛烈に自己変革を迫る文章である! この本を思春期の一時期の「はしか」としてだけ消費するのは実にもったいない。読者が30歳や40歳であっても、やはり自己変革を迫る作品だと思う。

中村融&山岸真『20世紀SF 1940年代 星ねずみ』『20世紀SF 1950年代 初めの終わり』『20世紀SF 1960年代 砂の檻』『20世紀SF 1970年代 接続された女』『20世紀SF 1980年代 冬のマーケット』『20世紀SF 1990年代 遺伝子戦争』

長年SFを読みたいと思いつつも食指が伸びなかったのだが、梶尾真治『おもいでエマノン』を読んで以来、やっと本格的にSFを読む決意ができた。その後『SFが読みたい!』に紹介されていた本を中心に読んできて、どれも面白かったのだが、やはりSFというジャンルを俯瞰できるという意味では、このシリーズを推したい。





冷泉彰彦『民主党のアメリカ 共和党のアメリカ』

激変する世界情勢と日本の経済情勢と雇用情勢――もはや誰が何を言っても信じられないという感じだが、冷静に立ち位置を振り返ることのできる本は、意外に多く発売されている。本書もそのひとつである。

黒木亮『巨大投資銀行(上)』『巨大投資銀行(下)』

黒木亮は、今、最も面白いビジネス小説の書き手であろう。浪花節で誤魔化すことなく、ビジネスの面白さや難しさ・非情さを描写している。高揚感もある。それに著者自身のビジネス経験がきわめて豊富なため、ディティールがリアルなのも良い。神は細部に宿るのである。

梅田望夫+齋藤孝『私塾のすすめ』

梅田望夫がサバティカル休暇に入る前の最後の著作。まあ対談集だが、様々な示唆を得ることができるだろう。個人的には、今まで嫌いだった齋藤孝に対する印象に変化の見えた本でもある。詳しくは当時のエントリー(↓)をご覧ください。

勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術 自分をグーグル化する方法』

勝間和代の「フレームワーク云々」に関する不満・疑問を述べたのだが、同じような不満・疑問を持っているであろう数多くの人が、検索エンジンを通じてこのエントリーにアクセスしてきた。俺のような辺境のブログにとっては、かなりの人数と言って良い。それに、この1年間で「フレームワーク」は出版業界の流行語(もしくは金づる)になり、勝間和代自身のフレームワーク本を含み、様々なフレームワーク本が雨後の筍のように発売されている。この流れは俺が作ったわけでは全然ないけれども、自分の想像した(あるいは予見した)流れに近づいているという点では、俺の「本読み」としてのセンスも捨てたもんじゃないなと思える。

酒井穣『はじめての課長の教科書』『あたらしい戦略の教科書』『英会話ヒトリゴト学習法』

梅田望夫や勝間和代と同じく、新しい書き手だなと思う人物である。梅田望夫はネット上で自分について言及した全ての言説を読んでデータベース化し、その結果を著書に反映させている。勝間和代は、ネットを最大限に活用したセールスプロモーションを模索している。そして酒井穣は、自著に言及したブログを漏らさずチェックし、そして(おそらく)可能な限りそのブログにコメントをつけている。漫画やアニメーションなどのサブカルチャーの分野は別として、ビジネス書の分野でこういう風にネットを活用する書き手が登場してきたのは、新しい流れだなと思う。


鈴木貴博『がつん!力 会社を救う5つの超原則』『カーライル 世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略』

極私的名著『逆転戦略 ウィルコム 「弱み」を「強み」に変える意志の経営』を書いた著者による本も2冊ほどピックアップ。前者は、著者の戦略コンサルタントとしての魅力を余すことなく伝えた明快な本。一方後者は、著者は黒子に徹し、カーライルという会社の秘密に迫っている。マスコミは外資系ファンドを「ハゲタカファンド」と十把一絡げでまとめてしまう傾向にあるが、それは間違っていることを本書は教えてくれる。

冨山和彦『指一本の執念が勝負を決める』『会社は頭から腐る』

あのあまりに輝かしいキャリアに似つかわしくない、あまりにアツいビジネス論!

田坂広志『なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか』『なぜマネジメントが壁に突き当たるのか』

先輩に借りた本なのだが、1年経って自分の感想を読み返してみて――改めて厳粛な気持ちになった。田坂広志の文章は癖が強いけれど、とても深いことを書いている。買おうと思う。

*1:ドーピングを認めてしまったランス・アームストロングの本を、どう捉えたら良いんだろうなあ……。自転車競技というのはそれだけ人間の限界を超えた過酷な競技だと言うことなんだろうけど……。