八幡紕芦史『教育プログラムの戦略的構築法』

教育プログラムの戦略的構築法―多様化時代のプロフェッショナル人材育成

教育プログラムの戦略的構築法―多様化時代のプロフェッショナル人材育成

教育プログラムを戦略的に構築・実行するため、SSA法(Strategic System Approach)という手法を提唱している。要は、「調査・分析」「目的・目標設定」「戦略の立案」「戦術の策定」「アクション・プラン」「実行・推進」「評価・検証」という7つのステップにしたがって、何をどういう風に実施すれば良いのか、実施内容や実施時のポイントを体系的に書いているものである。網羅的で、とても参考になる。
ただしSSA法自体は、著者が独自に提唱しているだけで(少なくとも検索した限りでは)一般的に認められたフレームワークではない(と思われる)。一般の人事担当者であれば本書で十分すぎるほどだし、内容が大きく変わるわけではないのだが、プロのHRのコンサルタント(を目指す人)はもう少しアカデミックな理論研究や実証研修に裏打ちされた「原典」的な本も併せて参照した方が良いだろう。
例えば、効果の高い研修や教育システムを設計することを目指す「インストラクショナルデザイン」という学問領域がある。インストラクショナルデザインの歴史はたかだか半世紀ほどだが、理論・実証共それなりに豊富なバックグラウンドがあるため、『インストラクショナルデザインの原理』などを手に取れば、相当な勉強になる。俺は今この本を熟読中である(けっこう分厚い本なので、完全に読み終わるのはしばらく後になりそう)。あと日本語で書かれたもう少し易しいインストラクショナルデザインの入門書としては、読了済の鈴木克明『教材設計マニュアル』を推薦しておく。
インストラクショナルデザインの原理  教材設計マニュアル―独学を支援するために