大前研一『さらばアメリカ』

さらばアメリカ

さらばアメリカ

大前研一によるアメリカ論。かなり面白いので、今のアメリカがおかれた状況を整理するには、ぜひ読んでおきたい1冊。ただし本書や本書のテーマについては、実は先日『フォーサイト』2009年3月号の感想で語ってしまったので、改めて語りたいということはあまりない。まあ要するに、アメリカ経済は今後も予断を許さないし、アメリカの自国中心主義も(イラクであれほど失敗してなお、いや失敗したからこそ余計に偏屈になり)今後もしばらくは変わらないだろう、ということが書かれている。
個人的には、アメリカ経済のアメリカらしい特徴というのは、チェック(小切手)、住宅ローン、クレジットカードの3つではないかなと思っている。つまりアメリカ経済というのは、購買力をはるかに超えた消費活動に励むことで発展してきたのである。しかし、その根本原理のひとつである住宅ローンが揺らいでしまったために、あの大国を駆動するだけの住宅投資が起こらくなってしまった。そして住宅ローン自体の破綻もまだまだ終わらないと思うが、住宅ローンビジネスの背景にはクレジットカードという魔物が控えている。
そう考えると、そんじょそこらの手腕では、とてもじゃないが数ヶ月やそこらでアメリカの景気は回復しないよな、と思う。オバマさんも大変な時期に大統領になったものだ。incubator.hatenablog.com