『フォーサイト』2009年8月号


国際情勢を中心とした骨太雑誌。
今月号の特集は「イラン」だが、個人的には製薬会社の記事が面白かった。
製薬業界には「2010年問題」というものがある。2009年から2011年にかけて、大型の新薬(先発品)の特許が次々に特許切れになるのである。そして新薬の特許が切れると、ジェネリック(後発)医薬品メーカーがドッと押し寄せ、新薬の売上は激減する。例えば、大日本住友製薬の血圧降下剤「アムロジン」が2008年に特許切れを迎えた際は、何と38社ものジェネリック医薬品メーカーが参入したそうだ。
しかも製薬会社は、実にハイリスク・ハイリターンなビジネスモデルなのである。例えば武田薬品などは、売上1兆5000億円の半分以上を、わずか4品目の新薬で稼ぎ出していた。しかし、この4品目のうちリュープリンは既に特許切れ、タケプロンは今年11月に特許切れ、アクトスとプロプレスもそれぞれ2011年から2012年に特許が切れるそうだ。つまり売上の半分は、ジェネリック医薬品メーカーにペンペン草も生えなくなるほど食い荒らされてしまう可能性が高い、ということである。
もちろん2010年問題自体はしばらく前から問題になっていたし、この記事も特別なことは書かれていないため、この記事そのものが特に新しいわけではない。しかし、改めてこの問題を整理して読むと、「これから製薬業界は大変だな〜」と思わざるを得ない。www.fsight.jp