- 作者: 古川日出男
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/11/25
- メディア: 文庫
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何とも両義的な読後感を覚える作品であった。古川日出男らしく、一人ひとりの登場人物の内面には決して深入りせず、心情描写もほとんどない。しかし若者たちの行動は、もはや若者と言えなくなりつつある年代に突入した俺にも「手に取るように」わかるものであった。荒唐無稽な話だが、それでもなお、俺が若者で、仲間がこのような自体に陥ったら、きっとこうしたんじゃないだろうか――という感情。彼らは若者らしい無鉄砲さに溢れており、頼もしさと危なっかしさの両方があり、ラストシーンにも清々しさと奇妙な切なさがある。
あくまでも小品であり、すぐに読める上、イラストも豊富でイマジネーションも刺激される。古川日出男の入門書として読んでみるのも良いかもしれない。