小野正弘『オノマトペがあるから日本語は楽しい』

オノマトペがあるから日本語は楽しい―擬音語・擬態語の豊かな世界 (平凡社新書)

オノマトペがあるから日本語は楽しい―擬音語・擬態語の豊かな世界 (平凡社新書)

オノマトペの入門書。学者らしからぬ浮ついた文体や内容には是非もあろうが、まあ新書であることを考えると、これで良いと思う。一般的に使われているオノマトペだけでなく、方言や古典のオノマトペも紹介されていて、なかなか面白い。
例えば、本書では(小説などの文学作品だけでなく)漫画など様々な作品を紐解きながらオノマトペの魅力に迫っていくのだが、その過程では、ゴルゴ13がタバコに火をつける「シュボッ」が何巻から登場するかまで調べている。本書でのオノマトペの魅力の追求は実に多角的である。
オノマトペは気軽に使えることもあって、レベルの低い小説で安易に使われがちだし、文学者の中にはオノマトペを嫌っている人も多い。三島由紀夫なんかは「下品な言葉」とまで言っていたらしい。俺も安易な使用には反対だけれど、一方で俺は、日本語の豊富なオノマトペに(おそらく他の人以上の)強い魅力を感じているのもまた事実なのである。詩でも小説でも、面白いオノマトペを駆使するとイメージがぐんと広がる。
ただし俺は、決して特殊なオノマトペだけを指しているわけではない。例えば、花びらが落ちる様を表現した「ひらひら」や、川の水が静かに流れる様を表現した「さらさら」は、とても美しい言葉だと思う。思いませんか?
ちなみに、このテーマであれば、山口仲美『犬は「びよ」と鳴いていた』を圧倒的に大推薦したい。俺がオノマトペに関心を抱くようになったきっかけとなる本である。

犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い (光文社新書)