ひぐちアサ『おおきく振りかぶって』10巻

おおきく振りかぶって(10) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(10) (アフタヌーンKC)

埼玉県にある公立高校(西浦高校)の新設硬式野球部を舞台とした野球漫画。主人公(三橋廉)は、中学時代、祖父の経営する群馬県三星学園野球部で「ヒイキ」でエース投手を務めたことで散々いじめられ、弱気&卑屈になってしまったという過去を持つ。前向きな主人公の多いこれまでの野球漫画では「ありえない」設定なのだが、それ以外にも特徴的な要素が多く、最近かなり人気のある野球漫画である。
10巻は、引き続き3回戦の崎玉戦。まあ初戦の桐青に比べると崎玉は圧倒的に弱いのだが、そういう試合であればこその課題がある。監督の百枝は、圧倒的な才能を持った4番打者・田島の影に隠れがちな、5番打者にして主将の花井を成長させるため、花井にプレッシャーをかけ続けていく。圧倒的な才能を前にした高校生の微妙な心理――けっこう好きなエピソードである。