小川一水『天冥の標Ⅱ 救世群』

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

全10巻に及ぶ壮大なSF長編の第二巻。
謎の疫病発生の知らせを受け、ミクロネシアの島国パラオに向かった国立感染症研究所に勤務する児玉圭伍と矢来華奈子は、第一級の感染症に遭遇する。物凄い致死率と、とんでもなく短い潜伏期間。必死の活動にもかかわらず、死に絶える感染者は一向に減ることがない。冥王斑と名づけられた疫病は、やがて世界的なパンデミックへと拡大していく――というアウトラインだろうか。
第二巻自体もとんでもなく面白いが、第一巻と第二巻の繋がり自体もとんでもなく面白い。これからどうなるのかと思った第一巻(西暦2803年)だが、一旦その続きを「棚上げ」にして、第二巻は一転して西暦201X年に舞台を移してきた。この壮大な物語の全ての「始まり」が、この巻で描かれるのである。