ディー・ジェイコブ+スーザン・バーグランド+ジェフ・コックス+三本木亮+久道雅基『ザ・ベロシティ』

ザ・ベロシティ

ザ・ベロシティ

  • 作者: ディー・ジェイコブ,スーザン・バーグランド,ジェフ・コックス,スーザン・バーグランド/ジェフ・コックス,三本木亮
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/11/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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かのエリヤフ・ゴールドラット博士が設立した「AGIゴールドラット・インスティテュート」という会社が作った本。
無目的な改善は、かえって現場の混乱を招いてしまうし、利益の増加にも繋がらない。なぜなら、制約(ボトルネック)を盲目的に悪と決め付けて解消することで、常にボトルネックの場所が動いてしまい、何を管理すれば良いのかわからなくなってしまうし、必要な無駄まで削ぎ落とすことで、想定外の対応が取れなくなってしまうからである。結果、利益やパフォーマンス指標は向上するどころか低下してしまう。本書では、制約そのものが悪だという考えに否を唱え、制約を管理するTOC(制約条件の理論)をベースに、制約を“解消”させるのではなく、制約を“固定”し、“管理”することが重要だとしている。つまり、制約の場所を常に固定し、その範囲内で、制約のパフォーマンスの向上と、システム全体のフロー(制約までのフロー、制約を通過するときのフロー、制約を通過した後のフロー)の管理を図ることで、継続的な改善が行える――素人の要約なのでちょっと自信がないが、大体こんなところだろうか。
もう少しカタカナ言葉満載で要約するなら、TOCをベースに、リーンとシックスシグマ(リーン・シグマまたはリーン・シックスシグマ:LSS)の考え方を加味した「ベロシティ・アプローチ」を紹介している本、ということになる。
リーンやシックスシグマで一般に理解されている「バラツキの軽減」や「ムダの排除」は、俺のような生産管理の素人にもピンと来やすいが、やはりTOCは一筋縄では行かない。ただ、確かにゴールドラット博士の一連の小説や本書を読むと、TOCの考え方は実際的だと思う。

余談

解説を書いている久道雅基は、AGIゴールドラット・インスティテュート・ジャパンの代表取締役。HPを探してみたが、日本法人の企業HPはまだ出来ていないようだ。本社HPに久道雅基の名前はあったんだけどね。