金沢克彦『元・新日本プロレス』

元・新日本プロレス

元・新日本プロレス

俺はプロレスマニアには程遠いまでも、毎週『週刊ゴング』と『週刊プロレス』を立ち読みし、新日と全日とWCWの深夜プロレスを欠かさず見て、おまけに大学プロレスの興行を頻繁に見るくらいには、プロレス好きであった……と過去形で書いたのは、今はほとんどチェックしていないからである。
プロレスの全盛期はいつだろう?
少なくとも俺にとっては、力道山でもアントニオ猪木でもジャイアント馬場でもジャンボ鶴田でもなく、10年〜15年前の新日本プロレスのことを指す。まあ俺が思春期でプロレスにハマりやすい時代だったというのもあるが、新日の闘魂三銃士を頂点とした異様なほど層が厚かったヘビー級戦線に、ライガー・大谷・金本・高岩・カシン・サムライ・稔・ワグナー・AKIRA――とこれまた異様に層が厚かった新日のジュニア戦線。さらに当時は、WCW(今は消滅したプロレス団体)がWWE(当時はWWFだった)と双璧を為していた時代で、俺は毎週ゴールドバーグというアメリカのプロレスラーのオーラに、深夜テレビの前で興奮していた。さらにさらに、格闘技ブームも沸き起こっており……まあ天国だったね。今から見ると。
その中で、個人的に「地味だけど好きな選手」というのがいて、その中のひとつが後藤達俊小原道由のコンビである。ほどほどにB級オーラで、でもプロレス好きにはたまらない巧さを持っており、潤滑油としても上手く機能したレスラーである。ただ最近あまり小原は見ないなあ……と思っていたら、どうやら既に引退して、サラリーマンをやっていたそうだ。本書で小原の「その後」が詳しく語られている。
さらに大谷や越中のインタビューも載っている。なかなか面白い。