羽海野チカ『ハチミツとクローバー』1〜10巻

ハチミツとクローバー 10巻セット

ハチミツとクローバー 10巻セット

ハチミツとクローバー (1) (クイーンズコミックス―ヤングユー)  ハチミツとクローバー (2) (クイーンズコミックス―ヤングユー)  ハチミツとクローバー (3) (クイーンズコミックス―ヤングユー)  ハチミツとクローバー (4) (クイーンズコミックス―ヤングユー)
ハチミツとクローバー (5) (クイーンズコミックス―ヤングユー)  ハチミツとクローバー (6) (クイーンズコミックス―ヤングユー)  ハチミツとクローバー (7) (クイーンズコミックス―ヤングユー)  ハチミツとクローバー (8) (クイーンズコミックス―ヤングユー)
ハチミツとクローバー (9) (クイーンズコミックス―コーラス)  ハチミツとクローバー (10) (クイーンズコミックス―コーラス)
5人の美大生がそれぞれ片思いに身を焦がすという、とても一言や二言では語り尽くせない青春漫画。しかも大人たちを含めると片思いな人々は6人から8人になり、まさに片思いのオンパレードにして金字塔と言って良い。
中には、既にきっぱりとフラレているのに引き下がれなくなった恋や、既に死んだ夫を思い続けている報われない片思い、さらにその未亡人にストーカーじみた恋愛感情を示す片思いも存在する。そして主人公は、可愛いが天然キャラ、そして天才キャラのヒロインに一目惚れ。しかし自分には何の才能があるかもわからず、そんな天才のヒロインとの遠さを感じてしまう。そして一歩踏み出すことで今の良い関係が壊れることを恐れ、恋を進展させることができない……という、まさに王道的な片思いだ。
得てしてこれらの恋愛模様を少女漫画的に仕上げると、どうにもこうにも重苦しくなりがちなのだが、あくまでも正面から「片思い」を扱いながら、それでもどこか甘苦く、そして(多くの登場人物たちの多難な未来をも含めて)希望の光が差し込んでいる。作品名の由来がスピッツスガシカオの曲名から来ていることもあり、カルさとシリアスさのバランスが絶妙である。
冒頭の言を翻して、あえて一言でこの漫画を表現してみよう。
「鮮烈」なのである。
青春とは、スラムダンクのような天才たちのきらめきでも、甘酸っぱい胸キュンばかりでも、何もないだけの空虚な日常でもない。何気ない一瞬が脳裏に焼き付く鮮烈さのことである、と語った漫画ではなかろうか……と、まあおそらく作者の意図とは違うだろうが、でも俺は毎度そんなことを感じながら何度も読み返しているのである。必読。

余談

テレビアニメもフジテレビのノイタミナ枠で放送されている。原作を忠実に再現したタイプのアニメだが、原作を読んだ方でも十分に楽しめる、極めて質の高いアニメである。アニメーションのクオリティもさることながら、音楽や声優も完全にマッチしている。こちらもオススメ!
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