- 作者: 機本伸司
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2009/10
- メディア: 文庫
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前作のテーマは「宇宙を人工的に作ることは出来るか」だったが、本作は「幸福を人工的に作ることは出来るか」である。幸福というのは、要は本人が幸福感を感じていれば幸福なので、常に幸福感を感じられるように脳を作り変えてしまえば良い……もちろんこれは暴論である。しかしこうした方法で本当に幸福感を得られる技術が開発され、かつ実際にこうした脳の改造を希望する人間が表れたら、人間社会はこれを認めるべきか、それとも人間らしくないとして禁止するべきか。
こうした科学と倫理の問題を縦軸に、天才少女の苦悩を横軸に、読みやすい文体でハードなSFを展開してくれている。安易な続編は悲しい結果しか生まないが、これは面白いと思う。ヒロインのキャラも立ってきたので、シリーズ化してどんどん続きを書いてほしい。