2010年に読んだ本の中から特に印象深かったものを取り上げてみたい。本来は今年の正月に(きっちりと)書いたのだが、そのときに書いたのは誤って消してしまったので、大幅な省エネ文章で紹介。
筒井康隆『旅のラゴス』
ラゴスという男の生き様を追いかけたSF・ファンタジー風味の本。とにかく鼻血が出るくらい面白い小説。2010年の極私的MVPかな。
村上春樹『1Q84 BOOK 3』『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』
『1Q84』の第三巻。売れまくりの本なので「今さら」という感じもあるが、まあ好きなものは好きなわけで。ところで『1Q84』を読みながら思っていたのだけれど、この人はだんだん「きゅうりのようにクール」や「やれやれ」といった村上節が少なくなり、ニュートラルな文体になっていると思う。
あと村上春樹のインタビュー集も、春樹ファンには必読。
小川一水『煙突の上にハイヒール』
シンプルな文体で深い話を書く、俺にとっての理想の小説家のひとり。この小説はSF風味が薄いけれど、それがまた良い。大推薦。
小川一水『導きの星1 目覚めの大地』『導きの星2 争いの地平』『導きの星3 災いの空』『導きの星4 出会いの銀河』
小川一水のSF長編。他の星の成長を見守るという「シムシティ?」的な設定のSFだが、もちろんシムシティよりは深いです。本屋にもあまり売られていないが、凄く面白いのでオススメ。
小川一水『風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記』
2010年は他にも『時砂の王』やら『天涯の砦』など、小川一水の小説を読みまくったので、どれをピックアップするか色々と迷ったのだが、これがまた大傑作。人や時代ではなく、街に焦点を当てた小説。今は読みやすい文庫版が出ており、いくらかエピソードの追加や改稿がなされているようなので、文庫版を推奨。
内田樹『日本辺境論』
面白いというよりは、考えさせられたという点で、ピックアップ。
中川邦夫『問題解決の全体観』『ドキュメントコミュニケーションの全体観』
問題解決と、問題解決を踏まえたドキュメンテーションの本。それぞれ上下巻に分かれている上、無駄に紙質が良いのでその分のコストも加算されているのだろうなぁ……と、最初は買うのを躊躇した。しかし結果的に買って良かった。実に素晴らしい本。これは仲間にも大推薦したが、評判が良かった。
鈴木貴博『会社のデスノート』
「所得弾力性」と「価格弾力性」という2つの概念を用いた経営書。最高峰。
トム・ケリー+ジョナサン・リットマン『イノベーションの達人!』
世界最高峰のデザインファームと称されるIDEO(アイディオ)の共同経営者による本。最高!