荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険Part8:ジョジョリオン』1巻

ジョジョシリーズの第八部。第六部で世界が「一巡」した後のパラレルワールドであり、第七部と同じ世界設定を引き継いでいるようだ。しかし第八部は、これまでの第一部〜第七部とは(今のところ)大きく異なる。

「ジョジョ」シリーズの主人公やその仲間たちは皆「黄金の精神」を持っていた。彼らは法律を遵守するという意味での善人ではないが、正義や信念のために命を賭けて戦えるという、黄金の精神の持ち主だった。ジョナサン・ジョセフ・承太郎・仗助・ジョルノ・徐倫(ジョリーン)と、第一部〜第六部では(仲間も含め)全員紛れもなく黄金の精神の持ち主だった。第七部は少々怪しいが、少なくとも相棒のジャイロ・ツェペリは素晴らしい黄金の精神の持ち主だったし、ツェペリの遺志を継いだ主人公ジョニィ・ジョースターも最終的には黄金の精神を胸に大統領と戦った。

一方、第八部の主人公は記憶喪失状態で、今のところ名前もわからないし、そもそも何故襲われ、何のために戦っているのかが皆目わからない。だから黄金の精神を持っているのかもわからないのである。加えて、ジョジョシリーズのファンには懐かしい「東方」姓を持つ東方常秀は、今のところお世辞にも黄金の精神を持っているとは言えない。誰が黄金の精神を引き継いでいるのかがわからないまま読み進めるという意味で、第八部はこれまでの作品と大きく異なっている。

なお、1巻の登場人物によると、第八部は「呪いを解く物語」らしい。ここでの呪いが何を指すのかまだ全くわからないが、戯れに予想をしてみたい。といっても情報がまだ少なすぎるから、正確には「願望」なのだが、ここでの「呪い」とは第六部のプッチ神父によって引き起こされた一巡後の世界を指すのではないだろうか。そしてもうひとつ、ジョジョの血統が断絶していること自体が「呪われた状態」である、と大胆に予想してみたい。したがって今後の展開すなわち呪いが解かれた状態とは、第六部ラストの時間加速→世界一巡に対して第八部ラストで反動としての時間逆行ないし時間収縮が起こり、第六部ラストの世界設定に戻る……という状態のことではないだろうか。

まあ、これは実現の可能性が低い単なる願望である。でも、ジョセフや承太郎や徐倫といったジョースターの血統とその仲間たちの死闘が「いなかったこと」や「なかったこと」になるのは、ファン心理としてはやっぱり寂しいんだよな、どうしても。だから第九部でまた承太郎やスタープラチナが登場する……というのは、俺にとっては呪いが解かれた状態なのである。

どう?

追加

改めて、「呪い」や「呪いを解く」とは何かを予想。

[予想1]

  • 呪いとは、第六部のプッチ神父によって引き起こされた一巡後の世界のこと
  • 呪いを解くとは、第一部から第六部の一巡前の世界に戻ること(多くのファンにとっても、これが最も祝福された状態では?)

[予想2]

  • 呪いとは、第四部の吉良吉影の呪わしい生(性)のこと
  • 呪いを解くとは、一巡後の世界で、第8部の吉良吉影が呪いを受け止め、贖罪すること
    • まだ1巻の段階では、主人公の名前が吉良吉影じゃないという可能性もあるが、まあ吉良吉影が関わることは確実そうなので、その場合は、第8部における吉良吉影も第4部と同じような呪われた所業を行っており、主人公たちがその呪われた所業を打ち砕くこと、になるかも?

[予想3]

  • 呪いとは、主人公の4つの睾丸
  • 呪いを解くとは、主人公の睾丸の数が戻ること(あるいは、誰かの睾丸の数が元に戻る?)