- 作者: 志村貴子,藤野千夜
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/23
- メディア: コミック
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姉と弟が突然別世界にスリップしてしまうという、パラレルワールドとしてはある種「ありがち」なプロローグ。でもラストまで読んで驚いた。こんなの悲しすぎる。
俺は、10代や20代の初め頃までは「ハッピーエンドなど糞食らえだ」と、むしろ救いのない話ばかりを好んでいたが、今は違う。馬鹿っぽい安易なハッピーエンドは今も好きにはなれないが、救いのない話を読み漁りたいという気はしない。人間には意思があり、繋がりがあり、積み重ねた経験があり、さらには経験の限界を吹き飛ばす向こう見ずで無鉄砲なパワーがある。でも本書のラストには、そうした力の片鱗が全く感じられない。俺には、ただただ、のっぺりとした「諦めの境地」の世界にしか見えない。
もちろん志村貴子の絵は相変わらずキュートで最高なんだけどね。いや、志村貴子のキュートでちょっと淡々とした漫画表現だからこそ、この「哀しさ」が余計に立ち表れてくるのかもしれないけれど……。