江坂遊『小さな物語のつくり方』

小さな物語のつくり方

小さな物語のつくり方

江坂遊という人のことはこれまで知らなかったが、世界でたった一人の「ショートショート専業作家」で、星新一の弟子らしい。
爺さんが弟子に教えるという設定(というか最初は弟子になれるかどうか試験をするという設定)の読み物なのだが、「おまえさんは○○なのじゃ」といった爺さんのコテコテな喋り口調を読むのがとにかくサムい。しかし、そこはどうか耐えていただきたい。俺も読み始めてすぐ「早まったか……」と後悔しかけたが、途中からはコテコテ度合いも減り、あまり気にならなくなる。
内容としては、精神論のようなものは少ないが、その代わりに具体的である。ショートショートは(どちらかと言えば)ストーリーや文章力というよりもアイデアで引っ張るジャンルだが、そうした奇抜なアイデアをどのように生み出すかが、具体的に記述されており、なかなか面白かった。

余談

ショートショートと言えば星新一である。星新一の本はいつかガッツリ読んでみたいと思いながら、著作の数も多いので未だに踏み出せない。実は『星新一 ショートショート1001』という全集的な本があり、これを買えば全てが解決するのだが、お値段が何と31,500円である。俺は高い本も躊躇なく買うタイプだが、さすがに3万円はちょっと迷うなあ。まずは『ボッコちゃん』や『きまぐれロボット』といった代表作を買う方が良いかもなあ。
星新一 ショートショート1001  ボッコちゃん (新潮文庫)  きまぐれロボット (角川文庫)