伊坂幸太郎『モダンタイムス(下)』

モダンタイムス(下) (講談社文庫)

モダンタイムス(下) (講談社文庫)

システムエンジニアの主人公が仕事を通じて厄介事に巻き込まれてしまう(ついでにプライベートでも厄介事に巻き込まれる)物語の後編。真相を隠そうとする巨大な力(本書では「システム」と呼ばれる)と、それに翻弄される登場人物の様が、伊坂幸太郎らしいカルい文体で描かれているのだが、伏線の緻密さやストーリーが魅力的で、とにかく先が気になって仕方がない。もっと早く読めば良かったなあと思わせる小説だ。

余談

本書を買う決め手でもあるのだが、文庫版の「あとがき」に以下のようなコメントが書かれていた。

文庫化にあたり(略)終盤で明らかになる、「ある事件の真相」を全面的に変更しています。真相を変えてしまうとは何事だ! と思われる方もいるかもしれませんが、文庫化のタイミングで、より面白い(と思う)アイディアが浮かんだのであれば、それを変更しないのは怠慢であるようにも感じました。

俺は単行本を読んでいないため、どこがどう変更されたのかはわからないが、物語の真相を変えるというのは珍しいね。
モダンタイムス(上) (講談社文庫)  モダンタイムス(下) (講談社文庫)