『バグダッド・カフェ』

Amazonにレコメンドされたので購入&視聴。DVDでは完全版もあるが、Blu-rayであることを優先。

アメリカ西部、ラスヴェガスとロサンゼルスを結ぶ長距離道路が通過する砂漠のど真ん中で、ドイツの寂れた田舎町ローゼンハイムから旅行にやってきた夫婦は喧嘩の果てに、妻のジャスミンは夫を残し一人で車を降りた。砂漠には不似合いのハイヒールと大きなトランクを引きずって歩き続けるジャスミン。そこからそう遠くはない、道路脇にたたずむ寂れたカフェ兼モーテル兼ガス・ステーション。そこでは女主人のブレンダが家族にもお客にも不機嫌に怒鳴り散らし、亭主さえも追い出したところだった。砂漠を歩き続けたジャスミンがやっとの思いで、その店にたどり着く。看板に書かれた文字は“BAGDAD CAFE”。ここから2人の女性の物語が始まる。

とりあえずAmazonの紹介文を引用したが、主人公は二人のおばさんだ。ブレンダは生活に疲れ切っており、優しさや気遣いを全く持てない状態である。日々ブレンダに怒鳴られるものだから、周囲の人々も一緒になって辛気臭い顔をしている。そのような中、旅行中*1に大喧嘩をして夫と別れたジャスミンがバグダッド・カフェに辿り着く。車もなく男物の着替えも持っている……というジャスミンに不信感を抱いだブレンダはこれまで以上にキーキー怒鳴り散らすのだが、ジャスミンはかなり意外なアプローチで閉塞し切ったバグダッド・カフェに変化をもたらすのである。暗く表情をなくした人々の顔が笑顔に満ちていく過程は、心地良い余韻と共に、俺に静かな闘志(明日も頑張ろう!)を与えてくれた。
なかなかの傑作。

*1:そういう意味では本作もロードムービーの一種と言えるかもね