インキュベ日記

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筒井康隆『パプリカ』

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)

筒井康隆の傑作SF……なのだが、前に同名のDVDを借りてきてあまりハマれなかったため、これまでどうも読む気がしなかった作品。しかし初めてちゃんと読んでみたところ、あまりの面白さに悶絶して、文字通り睡眠時間を削って読んでしまった。
パプリカ [DVD]
内容については、とりあえずWikipediaを引用。

夢のモニタリングや、実際に夢に介入することによって精神疾患を治療するPT(サイコセラピー)技術が発達している近未来。
精神医学研究所に勤める千葉敦子(ちば あつこ)はノーベル賞最有力と言われる程のPT治療の第一人者だったが、一方で他人の夢に潜入して精神病を治療する夢探偵パプリカという裏の顔があった。
研究所内のポストをめぐって不穏な空気が立ちこめる中、彼女は同じく研究所に勤めるPT機器開発の第一人者時田浩作(ときた こうさく)によって開発された、最新のPT機器「DCミニ」が盗まれたことを知る。必死の探索の末に盗難の犯人たちを突き止めた敦子は、何とか彼らからDCミニを奪い返そうとする。

テクノロジーの発達も「それなり」で、イメージしやすい程度の近未来が舞台なので、作品世界で登場人物たちが感じる考えや危機感も、かなりリアルに伝わって来る。また主人公の千葉敦子は七瀬シリーズを思わせる極めて高い母性とセクシャリティを備えた人物造形だ。この包容力とエロさの混在が、筒井康隆の考える理想のヒロイン像の一類型なんだろうな。