堀内厚徳『ベイビー・ワールドエンド』1巻

ベイビー・ワールドエンド(1) (講談社コミックス)

ベイビー・ワールドエンド(1) (講談社コミックス)

ゆー子は、根暗で友達がおらず、愛犬(ポチ)としかまともに話せない残念な少女である。しかし夏祭りでクラスメートの少年がライブをするということで、独りで夏祭りに参加していることを知り合いに見られないよう、こそこそと夏祭りに参加。まあ予想通り皆に見つかってしまう訳だが、クラスメートの少年に誘われる。ゆー子は、もう少しで友達(彼氏?)が出来そうだというところまで辿り着く訳だが、実はそれが暗く汚い「罠」であり、ポチまで撲殺されてしまうことで、世界に絶望する。ゆー子が「みんな死ね!!!」と絶望の縁で叫んだところ、「奇跡」が起こり、世界中に落雷が降り注ぐ。そして本当にみんなが死に、世界が終わる……。これは、後に「ワールドエンド(世界の終わり)」と呼ばれる奇跡である。
一方、実はこの日、もうひとつの「奇跡」があった。ゆー子を守れないまま力尽きたポチの願い。もし自分が人間だったら、ゆー子の友達にも家族にも恋人にもなれるし、ゆー子を守ってあげられたのにという無念。ポチはその思いを成就させ、人間として生まれ変わるのである。ここまで読んでみて俺も気づいたが、何と本作の主人公はゆー子ではなくポチである。わずかに生き残った人々で構成される「ワールドエンド」の後の世界で、ポチがゆー子を探す物語である。しかしあまりにも変貌した世界の中で、1年経ってもポチはゆー子を見つけることができない……そんな第1巻。
なかなか凝った設定のダークファンタジーで、2巻も読んでみたいと思わせられた。