浅羽通明『時間ループ物語論 成長しない時代を生きる』

時間ループ物語論

時間ループ物語論

前半は「時間ループ物語」、いわゆるタイムループモノ(あるいは単にループモノ)を類型化しながら、SF小説ライトノベル・アニメーションなど様々なジャンルの時間ループ作品を取り上げて解説している。後半は、やや「時間ループ」とは言いにくい作品についても時間ループ物語の分析を援用して批評を展開している。後半はあまり意味のある読みとは思えなかったが、細かいところは置いといても、俺も時間ループ作品をもう少し読んでみたいと素直に思った。「時間ループ物語」という切り口自体がまだまだアクチュアルであると思う。
なお本書の前半で時間ループ作品として取り上げられた数々の作品の中から、いくつか印象的だったものを備忘までに記載する。
恒川光太郎「秋の牢獄」、北村薫『ターン』、R・R・スミス「倦怠の檻(『宇宙の妖怪たち』所収)」、S・スチャリトクル「しばし天の祝福から遠ざかり」、S・エリン「パーティの夜」、涼宮ハルヒシリーズ「エンドレスエイト」、『恋はデジャ・ブ』、『未来の想い出』、垣谷美雨『リセット』、K・グリムウッド『リプレイ』、あきさかあさひ『終わる世界、終わらない夏休み』、佐伯かよ『永遠の夜に向かって』、伊藤伸平『はるかリフレイン』、竜騎士07ひぐらしのなく頃に』、桜坂洋All You Need Is Kill』、西澤保彦『七回死んだ男』、香納諒一『ステップ』、『バタフライ・エフェクト』、筒井康隆「秒読み」、豊田有恒『モンゴルの残光』、佐藤正午『Y』、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』、『魔法少女まどか☆マギカ』……もうこのあたりにしておこう。
俺がチェックしたことがあるのはエンドレスエイトビューティフル・ドリーマーだけであるが、秋の牢獄、倦怠の檻、恋はデジャ・ブあたりは本書でも詳述されており、一度チェックしたい。
秋の牢獄 (角川ホラー文庫)  宇宙の妖怪たち (1958年) (ハヤカワ・ファンタジイ)  恋はデジャ・ブ [DVD]
次はループしない時間モノ(タイムリープモノ)も書いてくれたら……。