朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]
映画版が話題を呼んだ、朝井リョウのデビュー作にして代表作。
バレー部のキャプテンだった桐島が部下をやめることになり、「桐島の控えだった部員」や「桐島の部活が終わるのをバスケをしながら待っていた友人」などに、桐島が部活をやめたことによる余波が他の同級生たちに広がっていくというアウトライン。ただし表題にもある「桐島」はキーパーソンなのに物語には直接登場せず、あくまでも他の登場人物の伝聞の中でのみ語られる……という面白い仕掛けがある。
そもそも映画版は(傑作だけど)けっこう前衛的で難解だという噂を聞いていたため、名前はよく聞くものの映画版・原作共に手を出すことはなかった。しかし同僚に勧められていざ手に取ってみると、少なくとも原作の方は、高校生のリアルな息づかいや思考が感じられる、実に素直な佳品である。これを19歳で書いたことにやや驚嘆すると共に、19歳だからこそ書ける作品なのかもなと素直に感じ入った次第。オススメである。
映画版も観てみようかな。