『攻殻機動隊ARISE -GHOST IN THE SHELL- 1』

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声優とグラフィックが全面的に変更されたために賛否両論の大論争(主に大批判)を巻き起こした攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL)の最新シリーズ。ARISE(起動・発生)というだけあって、本シリーズは素子や荒巻が公安9課を設立してファンが慣れ親しんでいる形になるまでのエピソード……つまり映画版やこれまでのテレビ版に比べると過去のエピソードが語られることになる。
さて、個人的にはARISEシリーズの評価はまだ「保留」というところだ。以下、ARISEのコミック版(藤咲淳一+大山タクミ『攻殻機動隊 ARISE 眠らない眼の男』1巻)の感想を書いた時のメモに基づいて書いてみる。

声優

特に主人公の草薙素子を担当する坂本真綾の声には全く違和感がない。田中敦子じゃなければ駄目だろうと最初は思っていたのだが……。素子の声にまでケチをつけている方は、おそらく「声オタ」と呼ばれる人種なのだろう。私のような、ごく普通の作品ファンにとって、ARISEにおける素子の声は十分に「素子」である。バトーと荒巻もファン心理からすれば不満を言いたくなるのもよくわかるが(特にバトー)、まあ許容範囲である。トグサは最初、「誰?」というぐらいイメージと違っていたが、これも何度も聞けば耳が慣れていくような気もする。
つまり声優は今のところ、(変えるメリットがあったのかという疑問は根深く残るも)不買に繋がるほどの不満は感じていない。

キャラクター

主役がヘボすぎるんじゃないか?
特に酷いのは素子で、そこらへんの雑魚キャラに負けている上、あっさりと目を盗まれている。トグサはまだ特捜所属で一般人のレベルだから良いとして、そんなヘボな素子にもあっさりと負けるバトーとパズ……。過去の話だから皆まだ未熟だというのはわかるが、いくらなんでもヘボ過ぎる。
キャラクターの絵柄もなあ……。サイトーの髪型は最早ギャグだが、それを差し引いても明らかに好みではない。質感がのっぺりし過ぎているというかね。押井版や神山版の方が好み。

世界観・設定

本シリーズは映画版やこれまでのテレビ版に比べると「過去」であるため、街の雰囲気は地味で正直あまり魅力を感じないが、まあこれまでの攻殻シリーズと比べたら時期的に現代に近いため、それも仕方ないかなと今のところ諦めている。デジタルツールや各種設定については、首のコネクタ(?)が古いなど、マニア的に考察しても面白そう。

音楽

溜息しか出ない。
本シリーズの音楽は菅野よう子ではなくコーネリアス小山田圭吾)が担当しているが、これがもう致命的に酷い。テーマ曲から作品中の挿入歌まで、とにかくARISEで印象に残っている音楽が何一つない。先ほどの「世界観・設定」とも繋がるが、攻殻ならではのSF感がゼロである。これは今からでも菅野よう子に戻してほしい。