野尻抱介『ロケットガール2 天使は結果オーライ』

天使は結果オーライ (ハヤカワ文庫 JA ノ 3-14)

天使は結果オーライ (ハヤカワ文庫 JA ノ 3-14)

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SF作家・野尻抱介の約20年前の作品。元は、いわゆるライトノベルのレーベルから出版されたものだが、最近ハヤカワ文庫で復刻された。
要は、女子高生がロケット乗りになるという話の全4巻シリーズなのだが、第1巻では、主人公・ゆかり(AV女優並のプロポーションらしい)と、主人公の異母姉妹・まつり(アグネス・ラムばりのダイナマイトバディーらしい)が、すったもんだの末、宇宙に旅立つまでを描いた。
で、本巻の第2巻では、主人公の同級生・茜(スレンダー体型)が仲間入りし、宇宙に旅立つまでが描かれている。良い感じに、色々な属性の方を呼び込めるようになっており、思わずなるほどと膝を打ちたくなる……。
まあ冗談はさて置き、本書は良くも悪くも、必ずしも経験や知識が十分でない女子高生が宇宙に飛び出すというところの痛快さを楽しむ物語である。逆に言うと、努力の蓄積とか、相手への経緯とか、そういうものはなかったりする。本作でも、私のような良い大人が読むと、主人公の無礼な言動には正直イラッとするところも出てくる。大人と見るや「憎まれ口」を叩いて当然と思っているところとか、未熟を通り越しているし、リーダーシップの意味や意義を履き違えているよなと思わざるを得ない。しかし、そういうのを飲み込んで、痛快さを楽しむ「べき」物語である。