アンディ・ウィアー『火星の人』

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

アンディ・ウィアーのデビュー作となるSF長編なのだが、アメリカで発売されるや否や爆発的な熱狂と共に受け入れられた(原題はTheMartian)。4/30にAmazon.comをチェックしたところ、既に9,435件のレビューがついており、そのスコアは5点中4.6である。日本ではさすがに9,435件とは行かないが、無名のSF作家の初長編に4/30時点で63件のレビューがつき、平均スコアはやはり4.6であるという点で、日米の双方で多くの固定ファンを掴んだと言って良いだろう。
とりあえずAmazonから紹介文を引用。

有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが――。奇跡的にマークは生きていた!? 不毛の赤い惑星に一人残された彼は限られた物資、自らの知識を駆使して生き延びていく。宇宙開発新時代の傑作ハードSF。

要は、火星に取り残された宇宙飛行士の脱出劇というか生存劇というか、そんな感じ。いわゆるハードSFにカテゴライズされるのだろうが、小難しさや気難しさは一切なく、ただただドキドキハラハラな展開に身を任せていられる。とにかく面白く、今年の極私的ベストセレクションに入ることが早くも確定した。大推薦!

余談

読みながら映画向きのプロットだなと思ったが、映画大国アメリカがアンディ・ウィアーの才能を放っておくはずもなく、早くも映画化の企画が進行中である。しかも監督が『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』などで知られるリドリー・スコット、主演がマット・デイモンだというのだから恐れ入る。