NHK放送文化研究所『現代日本人の意識構造[第八版]』

現代日本人の意識構造[第八版] (NHKブックス No.1228)

現代日本人の意識構造[第八版] (NHKブックス No.1228)

価値観やものの見方を捉えるため1973年から5年ごとに行われ、今回の2013年で9回目を数える「日本人の意識」調査で蓄積されたデータを分析した本……であるはずなのだが、分析がやや弱いかなあ。はっきり言えば単に質問項目と時系列の結果を紹介し、グラフの読み方をアドバイスしているだけに見える。一応、質問項目ごとの世代ごとの傾向、年齢ごとの傾向、男女間の傾向があるのかないのか等はわかる。それだけでもそれなりの興味深さはあるのだが、あまりにも淡々としており、読んでいて退屈である。

非常に面白いデータだと思うので、個人的には、もっと踏み込んで分析してほしいし、突っ込んだ仮説を見せてもらいたい。他のジャーナリストがこの結果を本格的に読み解いて自説を繰り広げても良いように思う。

余談

読み始める前は、NHK「14歳・心の風景」プロジェクト(編集)『14歳・心の風景——1900人のアンケートから「居場所」を求めてゆれる子どもたちの心の闇を探る』みたいな本を期待していた。これは未だに読む価値のある極めて優れた本なので、ご興味のある方は是非。incubator.hatenablog.com