野崎まど『小説家の作り方』

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

ちゃんと就職したくないばかりに応募した小説新人賞に受賞して、バイトをしながら小説を書いている駆け出しの兼業作家が主人公。ある日、作家生活3年目にして初めてのファンレターが届き、しかも女子大生だったので、主人公は興味を持って会ってみることにした。すると彼女は小説の書き方を教えてほしいと言う。しかも五万冊もの本を読んでいるのに、作文や手紙のようなものも一切書いて来ず、生まれて初めて書いた文章が今回のファンレターであるという尖った人材。主人公は警戒するも、結局、彼女の可愛さと絶妙な報酬額に釣られ、その申し出を引き受ける……というプロローグ。
「こんなの普通はラノベでしかやらない」といった、ラノベに対するメタ的な言及の多さが少々サムいが、それを除くと、けっこう楽しめる。ジャンルは「ラノベ」としか言いようがないのかもしれないが、SF風味やほろ苦いラブコメ風味もある。