古賀史健『20歳の自分に受けさせたい文章講義』

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

美文より正文(美しい文章より正しい文章)をモットーに、類書とは異なる過激なアプローチを取った本。例えば「句読点を打ち過ぎるな」というのが一般的な教えだが、本書では打ち過ぎるぐらいに打てと説く。文章が下手に見えても、正しく伝わる方が良いではないかというのが趣旨である。同様に、改行も多すぎるぐらいにやる。一文の長い人が読点「、」を打つ位置で句点「。」を打ち、一文の長い人が句点「。」を打つ位置で改行する……と形容したら、イメージに近いだろうか。

著者の提唱する正文を書こうとすると、当然、美文ではなくなる。

しかし、伝わるのである。わかりやすいのである。

本書自体も、正文を書くためのアプローチを使って書かれているのだが、確かにわかりやすい。

もちろん本書のアプローチを全面的に採用するわけには行くまい。

全面的に正文にして文章が下手に見られるのもどうかと思うからだ。

美文と正文のバランスが重要になるし、書き手の個性になる。

結論。大いに参考にすべき良書である。